“尺(ものさし)” の例文
『然う?』と、靜子は解きかけたネルの單衣に尺(ものさし)を使つて見て、『七寸……六分あるわ。短かゝなくつてよ、幾何(いくら)電信柱さんでも。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
下人 こゝに名前(なまへ)の書(か)いてある人達(ひとたち)を見附(みつ)けい! えゝと、靴屋(くつや)は尺(ものさし)で稼(かせ)げか、裁縫師(したてや)は足型(あしかた)で稼(かせ)げ、漁夫(れふし)は筆(ふで)で稼(かせ)げ、畫工(ゑかき)は網(あみ)で稼(かせ)げと書(か)いてあるわい。
と火なぶりをしながら身の上を歎くに、左樣さ馬車の代りに火の車でも來るであらう、隨分胸の燃える事が有るからね、とお京は尺(ものさし)を杖に振返りて吉三が顏を守りぬ。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
弦(つる)の附いた鋸で尺(ものさし)をあてつつ、その炭を同じ長さに切つて、大匏(おほふくべ)の横腹(よこつぱら)を刳(く)り拔いた炭取に入れた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
張物(はりもの)も五百が尺(ものさし)を手にして指図し、布目(ぬのめ)の毫(ごう)も歪(ゆが)まぬように陸に張らせた。「善く張った切(きれ)は新しい反物(たんもの)を裁ったようでなくてはならない」とは、五百の恒(つね)の詞(ことば)であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
器量はたぎって好(よ)いと云うのではありませんが、何処(どこ)か男惚(おとこぼ)れのする顔で、愛敬靨(あいきょうえくぼ)が深く二ツいりますが、尺(ものさし)を突込(つッこ)んで見たら二分五厘あるといいますが、誰(たれ)か尺を入れたと見えます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『然う?』と、静子は解きかけたネルの単衣に尺(ものさし)を用(つか)つて見て、『七寸……六分あるわ。短かなくつてよ、幾何(いくら)電信柱さんでも。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
とお京(きやう)は尺(ものさし)を杖(つゑ)に振返(ふりかへ)りて吉三(きちざう)が顏(かほ)を諦視(まも)りぬ。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とお京は尺(ものさし)を杖(つえ)に振返りて吉三(きちぞう)が顔を守りぬ。
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)