ちひ)” の例文
をけあなより入れさするに安五郎かたじけなしと何心なく饅頭まんぢうを二ツにわるに中にちひさくたゝみし紙ありければ不審ふしんに思ひひらき見るに
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
軍人の中に馬鹿面をかぶつたちひさな児が出て来たので——見物人の視線は一様にその方にそゝがれました。
泣き笑ひ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
而して其人と事を論ずるにあたつても彼れには決して気を以て人を圧するが如きこと無く、静かにして而もちひさき声にて微笑しながら語るなりき。余は之に反せり。
透谷全集を読む (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
おまへは決心をしてそれを為遂しとげることの六ヶしいほうには違ひありません。それがためにおまへもいかい苦労をおしだ、わたしもなか/\はたで気がめ升。しかしまたちひさいにしては感心なところ有升あります
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
とし十六じふろくなれども不圖ふとところいちか、肩幅かたはゞせばくかほちひさく、目鼻めはなだちはきり/\と利口りこうらしけれどいかにもせいひくければひとあざけりて仇名あだなはつけゝる、御免ごめんなさい、と火鉢ひばちそばへづか/\とけば
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)