小男こおとこ)” の例文
きみのうしろに、ぼくの助手の小男こおとこがうずくまって、ピストルをつきつけているんだよ。手むかいをすれば、きみの命はないんだぜ。
奇面城の秘密 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ひきおにはこのこえおどろいて、よくますと、あしもとにまめつぶのような小男こおとこが、いばりかえって、つッっていました。おにはからからとわらいました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「ヘエなぜです」クレーヴン探偵は、小男こおとこの坊さんが新趣向を提出したのを面白がりながら訊ねてみた。
年々若づくりになって行く種子と、二十代から白髪しらがのあった色の黒い小男こおとこの重吉とは、二人並んでいても年のちがいが以前ほどには目に立たぬようになって来た。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「しかし、小男こおとこさん。おまえさんは、なぜ、いまごろあるくのだ。」と、電信柱でんしんばしらいた。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
短気の石山さんが、どんな久さんを慳貪けんどんに叱りつける。「車の心棒しんぼうかねだが、鉄だァて使つかるからナ、おらァ段々かせげなくなるのも無理はねえや」と、小男こおとこながら小気味よく稼ぐたつ爺さんがこぼす。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その小男こおとこは、入口に立って、部屋の中をすかすように見ていましたが、やっと、一郎さんがたおれているすがたを見つけたらしく、そっと、そばへ近よってきました。
塔上の奇術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
小男こおとこさん、わたしは、こうやっていられない。けてひととお時分じぶんには、もとのところへかえってっていなければならんのだ。おまえさんは、ひとりこの屋根やねにいるかね。」と、電信柱でんしんばしらはいった。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きました。小男こおとこはまたていねいにあたまげて
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
まだあつい、なつ時分じぶん野原のはらしろおとこがさまよっているときは、おおきなくもつくばかりのからだでのそりのそりと、真昼まひる線路せんろあるいたものであるが、まちはいってからは、小男こおとことなって、晩方ばんがたからよるにかけて
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おい小男こおとこさん、もうけるよ。」と、電信柱でんしんばしらがいった。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)