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寛濶
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かんかつ
ふりがな文庫
“
寛濶
(
かんかつ
)” の例文
「なんの、なんの、丞相の
寛濶
(
かんかつ
)
な度量は、何ものにも、
較
(
くら
)
べるものはありません。誰よりも、それがしが深く知っておるつもりです」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
南欧の
寛濶
(
かんかつ
)
な性質は、その天分を少しも惜しむところなく発揮し、客間的な美や書籍上の明知をこしらえることには興味をもたないが
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ごくしぜんであるし、少しもみだらがましい感じがない。好むままを自由に楽しんでいるという、いかにも
寛濶
(
かんかつ
)
な態度であった。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
顔を上げずにいるので、誰だかまだわからない。——斉広は、何か用が出来たのかと思ったので、
煙管
(
きせる
)
をはたきながら、
寛濶
(
かんかつ
)
に声をかけた。
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
円味をもった
袖
(
そで
)
や、
束髪
(
そくはつ
)
なぞの
流行
(
はや
)
って来た時世にあって考えると不思議なほど
隔絶
(
かけはな
)
れている
寛濶
(
かんかつ
)
で
悠暢
(
ゆうちょう
)
な昔の男女の姿や
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
永井播磨守と池田甲斐守が、大廊下を通って
柳営
(
りゅうえい
)
の
間
(
ま
)
へ行くと、老中
阿部伊勢守
(
あべいせのかみ
)
は待ちかねていたようにさしまねき、
寛濶
(
かんかつ
)
に顔をほころばせながら
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
赤坂
山王下
(
さんのうした
)
の
寛濶
(
かんかつ
)
な
賑
(
にぎ
)
やかさでもなく、六本木
葵
(
あおい
)
町間の引締った賑やかさでもなく、この両大通りを斜に
縫
(
ぬ
)
って、たいして大きい間口の店もないが
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
友達は多く彼の
寛濶
(
かんかつ
)
を
羨
(
うらや
)
んだ。宗助も得意であった。彼の未来は
虹
(
にじ
)
のように美くしく彼の
眸
(
ひとみ
)
を照らした。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
色よしとする
通町辺
(
とおりちょうへん
)
の若旦那に真似のならぬ
寛濶
(
かんかつ
)
と
極随
(
ごくずい
)
俊雄へ打ち込んだは歳二ツ上の冬吉なりおよそここらの恋と言うは
親密
(
ちかづき
)
が過ぎてはいっそ
調
(
ととの
)
わぬが例なれど舟を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
葉子はそこにいかにも
伊達
(
だて
)
で
寛濶
(
かんかつ
)
な心を見せているようだったが、同時に下らない女中ずれが出来心でも起こしはしないかと思うと、細心に監視するのも忘れはしなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
唐桟
(
とうざん
)
を喜んだり、
結城
(
ゆうき
)
を渋がったりするのは、幕末頃の因循な町人趣味を受け継いで居るんだ。現代の日本人は宜しく慶長元禄時分の、
伊達
(
だて
)
寛濶
(
かんかつ
)
な昔の姿に復らなければいけない。
金色の死
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と左右へ、羽織の紐の
断
(
き
)
れるばかり大手を拡げ、
寛濶
(
かんかつ
)
な胸を反らすと
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
学生は学生らしくすべしという訓戒をたれた
敬虔
(
けいけん
)
な態度を見ると、竹やりむしろ旗の暴動よりも、静粛の方がどれだけりっぱかしれないという
溶々
(
ようよう
)
大海のごとき
寛濶
(
かんかつ
)
な気持ちが全身にみなぎった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
しなければならない、もう少し
寛濶
(
かんかつ
)
な気持になって、楽しむことは楽しんで生きなければ……あとで悔んでも若い日をとり戻すことはできないぞ
菊千代抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
だんだら模様の
烏帽子
(
えぼし
)
をかぶり、
三番叟
(
さんばそう
)
らしい
寛濶
(
かんかつ
)
な狂言の衣裳をつけ、鈴を手にした
甥
(
おい
)
の姿が、彼の目に見えて来た。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お上が
寛濶
(
かんかつ
)
に思い捨てられたのなら、こちらも悪い冗談と、笑ってすませればよろしからん。
ひどい煙
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
沈剛内勇、まことに
寛濶
(
かんかつ
)
な男で、しかも武芸は三軍に冠たるものがある。……こんどの戦こそ、日頃の恋をとげるにはまたとない好機。なんとかして彼を麾下に加えたいものである。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目の光にさえもとのように大海にのみ見る
寛濶
(
かんかつ
)
な
無頓着
(
むとんじゃく
)
なそして恐ろしく力強い表情はなくなって、いらいらとあてもなく燃えさかる石炭の火のような熱と不安とが見られるようになった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
半蔵らに言わせると、鈴の屋の翁にはなんと言っても天明寛政年代の人の
寛濶
(
かんかつ
)
さがある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
玉造の家から八百助が出て来た、例のきらびやかな着付けに黄金作りの太刀を
佩
(
は
)
き、笠はかぶらず、絵からぬけ出たような美男ぶりを見せながら、右手に扇を持って
寛濶
(
かんかつ
)
に歩いてゆく。
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
花栄
(
かえい
)
は感服した。宋江のどこまで人を憎まない
寛濶
(
かんかつ
)
な態度には自然頭が下がる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分たちの暮らし向きはまるでそんな事も考えないような
寛濶
(
かんかつ
)
なものだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
茶屋と三浦屋の間を遊行するという至極の
寛濶
(
かんかつ
)
さだった。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
東京の元園町の友人の家からわざわざ送り届けてくれた
褞袍
(
どてら
)
は随分役に立って、長い冬の夜なぞは洋服の上にそれを重ね
寛濶
(
かんかつ
)
な和服の
着心地
(
きごこち
)
を楽みながら机に
対
(
むか
)
ったものであったが
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
寛
常用漢字
中学
部首:⼧
13画
濶
漢検1級
部首:⽔
17画
“寛濶”で始まる語句
寛濶派手者