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嬌羞
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きょうしゅう
ふりがな文庫
“
嬌羞
(
きょうしゅう
)” の例文
ましてや人に媚びたり、あるひはわれとわが心に媚びるときに女人の唇辺によく浮ぶ、あの無心または有心の
嬌羞
(
きょうしゅう
)
では尚のことなかつた。
鸚鵡:『白鳳』第二部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「おひひひひひ」おわきは
嬌羞
(
きょうしゅう
)
の笑いと共に父の言葉を確証した、「恥ずかしながら
疾
(
とう
)
より、わらわはお手付の身にござりましょうわいなあ」
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
巧みな
道化
(
どうけ
)
役者にも似合わない、豆蔵の緑さんは、十八の娘の様に、併し不気味な
嬌羞
(
きょうしゅう
)
を示して、そこの柱につかまったまま動こうともしない。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と
呟
(
つぶや
)
いて、政枝は頸をひねって一寸髪に手をやり、掛け毛布の下で細い体を妙にくねらせた。その
嬌羞
(
きょうしゅう
)
めいた仕草が多可子を不意に不快にした。
勝ずば
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
酔エルガゴトク眠レルガゴトクニシテ
嬌羞
(
きょうしゅう
)
ヲ含ンデイルサマガ何トモイエナイ。———僕ハ最初ハ、相当ノ間隔ヲ置イテ木村ヲ妻ニ接触サセタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
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何故
(
なぜ
)
と云うに、この花の如き十五歳の少女には、
些
(
ちと
)
の
嬌羞
(
きょうしゅう
)
の色もなく、その
口吻
(
こうふん
)
は男子に似ていたからである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それともそうやって
嬌羞
(
きょうしゅう
)
を作っておいて油断させようというつもりからか、くねりと身をくねらせながら長い袂で面を覆うと、逃げるように側から離れました。
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
しかし廊下で彼に
微笑
(
ほほえ
)
みかけるようにしている彼女の顔が、何か
際
(
きわ
)
どく目に立たない
嬌羞
(
きょうしゅう
)
を帯びていて、どこかで見たことのある人のように思えてならなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そう云って、美奈子は本当に
浴衣
(
ゆかた
)
の
袖
(
そで
)
で顔を
掩
(
おお
)
うた。処女らしい
嬌羞
(
きょうしゅう
)
が、その身体全体に
溢
(
あふ
)
れていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その上御米は若い女にありがちの
嬌羞
(
きょうしゅう
)
というものを、初対面の宗助に向って、あまり多く表わさなかった。ただ普通の人間を静にして言葉
寡
(
すく
)
なに切りつめただけに見えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それ自身
嬌羞
(
きょうしゅう
)
を帯びたように
怯
(
お
)
ず
怯
(
お
)
ず差し出されていたことだけである。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして嬢は持てる限りの艶色と
媚
(
こび
)
と
嬌羞
(
きょうしゅう
)
とを最上の技巧に託して泣き伏したが、八百助は見向きもせずに庭へ下り去った。
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
水のたれる様な
結綿
(
ゆいわた
)
の美少女が、何とも云えぬ
嬌羞
(
きょうしゅう
)
を含んで、その老人の洋服の
膝
(
ひざ
)
にしなだれかかっている、
謂
(
い
)
わば芝居の濡れ場に類する画面であった。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
光代は、さつき鏡台のまへで初めてみた、妹の
嬌羞
(
きょうしゅう
)
をもう一ぺん思ひ出さずにはゐられなかつた。彼女は振かへつてまともに妹の顔を覗いてやりたいと願つた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
人々の環視の裡に、微笑とも
嬌羞
(
きょうしゅう
)
とも付かぬ表情を、
湛
(
たた
)
えた
面
(
おもて
)
は、くっきりと
皎
(
しろ
)
く輝いた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ほとんど
女人
(
にょにん
)
の
嬌羞
(
きょうしゅう
)
に近い
間
(
ま
)
の悪さの見えるのは不思議である。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そう云って、
叮嚀
(
ていねい
)
なおじぎをした時の、文子の巧みな
嬌羞
(
きょうしゅう
)
を、柾木はいつまでも忘れることが出来なかった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ふしぎなことに、紀伊に話しかけるとき、彼は赤くなるのを抑えることができなかったし、紀伊もまた同じように、赤くなったり、躯ぜんたいで
嬌羞
(
きょうしゅう
)
を示したりした。
女は同じ物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そう言いながら、彼女はこぼるゝような
嬌羞
(
きょうしゅう
)
を、そのしなやかな
身体
(
からだ
)
一面に
湛
(
たた
)
えた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いし自身でもときに失言することがあり、赤くなって顔の紐を解くのだが、それが少年のようにすなおな
嬌羞
(
きょうしゅう
)
で、まわりの者の気持をなごやかに楽しませるのであった。
いしが奢る
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
豊かにくびれた腰の線や、重たげに張りきった胸のふくらみが白一色に消されて、いつもの陽気で
嬌羞
(
きょうしゅう
)
にあふれているかよとはまったくべつな、
初
(
う
)
い初いしく、殆んど清浄な印象を与えるのであった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
媚
(
こ
)
びや
嬌羞
(
きょうしゅう
)
は少しも感じられなかった。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“嬌羞”の意味
《名詞》
女性が艶かしく恥じらうこと。また、そのような恥じらいの表情。
(出典:Wiktionary)
嬌
漢検1級
部首:⼥
15画
羞
常用漢字
中学
部首:⽺
11画
“嬌”で始まる語句
嬌態
嬌
嬌声
嬌瞋
嬌名
嬌笑
嬌艶
嬌然
嬌嗔
嬌娜