奸賊かんぞく)” の例文
宗方善五郎は藩金を私し、拙者の弟を殺した憎む可き奸賊かんぞくでは、あるが、拙者にはそれを討つ可き名分はない。
英雄一たびその志すところに失敗せば、かの行為は、奸賊かんぞく強盗ごうとうの行為をもって目せらる。我らは衆人環視のうちに捕えられいましめられ、暗獄あんごくのうちに幽閉ゆうへいせられる。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
たれ奸賊かんぞくの富国策を聴かんや、余の教育上の主義ならびに経験は何かある、誰か子弟を不忠の臣に委ぬるものあらんや、余はこのありてこの土のものにあらず
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「やあ、奸賊かんぞく和田呂宋兵衛わだるそんべえ、このになってはのがれぬところ、神妙しんみょう木隠こがくれ龍太郎の縄目なわめをうけろ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたり取しに相違無し言譯いひわけなさに此打擲ちやうちやくかたりめ/\奸賊かんぞくめと大音じやうのゝしれば長庵増々ます/\いかりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
水戸黄門が竜神の白頭しろがしら床几しょうぎにかかり、奸賊かんぞく紋太夫を抜打に切って棄てる場所に……伏屋ふせやの建具の見えたのは、どうやらびた貸席か、出来合の倶楽部などを仮に使った興行らしい。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
万々ばんばん失策に出で候て、私共同志の者ばかりつのり候も、三十人、五十人は得べくに付き、これを率いて天下を横行し、奸賊かんぞくの頭二ツ三ツも獲候上にて、戦死つかまつり候も、勤王の先鞭せんべんにて
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
奸賊かんぞく、新撰組! のろわれろ」
奸賊かんぞくめが」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
宗方善五郎は藩金をわたくしし、拙者の弟を殺した憎むべき奸賊かんぞくではあるが、拙者にはそれを討つべき名分はない。
奸賊かんぞく和田呂宋兵衛わだるそんべえ伊那丸方いなまるがたにさる者ありと知られたる木隠こがくれッ首もらった」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふくたくめる奸賊かんぞくも有り面體見惡みにくき者の申立る事は言葉續きあららかにしていつはかざやうに聞え品に因ては裁許さいきよあやまりなしとも云難し然れば鎌倉七世の執權しつけん北條時宗を輔佐ほさして問注所もんちうしよの總裁職を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
奸賊かんぞくどもをご一掃ください。さもないと、お家は危ういと思います」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
も恐れず傍若無人ばうじやくぶじん言立いひたてなれば越州殿ゑつしうどのにも不敵の奸賊かんぞくなりと目を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分の父の黄琬こうえんは、むかし李傕りかく郭汜かくしが乱をなした時、禁門を守護して果てた忠臣です。その忠臣の子がいまは、心にもなく、僭上せんじょう奸賊かんぞくの権門に屈して、その禄をんでいるとは実になさけない。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奸賊かんぞくすさりおろう!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奸賊かんぞくッ!
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)