太公たいこう)” の例文
太公たいこう。太公。」と太政官がよく呼んでゐる養子が居た。弟の二男で、太吉といふのであるが、十六にもなつて鼻の下に長く鼻汁を垂らしてゐた。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
湯浴ゆあみ、食事なども、終ってから、王進は、荘主あるじ太公たいこうに会った。頭巾ずきんをかぶり、白髯はくぜんは膝にたれ、道服に似たものを着、柔かそうな革靴かわぐつをはいている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伯夷叔斉はくいしゅくせい太公たいこうも群衆に逆らった心の独立はみすべきであるが、もし二人の兄弟が武王ぶおうに反対して、ひそかに出版物をき散らしたり、あるいはいんに徒党を組んだり
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
... しんもつきみす、じんけんや』と。(三〇)左右さいう(三一)これへいせんとほつす。(三二)太公たいこういはく、『義人ぎじんなり』と。たすけてらしむ。武王ぶわうすでいんらんたひらげ、天下てんかしう(三三)そうとす。
〔譯〕刀槊たうさくきよ心をいだく者はくじけ、勇氣ゆうきたのむ者はやぶる。必や勇怯ゆうきよを一せいほろぼし、勝負しようぶを一どうわすれ、之をうごかすに天を以てして、廓然かくぜん太公たいこうに、之をしづむるに地を以てして、もの來つて順應じゆんおうせん。
九紋龍は稀に見る天才児で、わしの武芸十八般の秘奥までよく会得えとくしてきたが、しかし親の太公たいこうの望みは、史進ししん名主なぬし役の跡目をつがせて、早く老後の安心をえたいとするにあろう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは公然と演説するにしても事実をげて武王ぶおう太公たいこうの政策やら人身を攻撃こうげきしたならば、彼らは決して義人でもなければ、善人でもなく、後世は彼らを乱臣賊子らんしんぞくしと呼ぶであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ところへ、あるじの太公たいこうの声がした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)