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大廣間
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おほびろま
あの
涙の
池で
泳いでからは
何も
彼も
變つたやうで、
硝子洋卓も
小さな
戸のあつた
大廣間も
全く
何處へか
消え
失せて
了ひました。
甲給仕
足下をば、
大廣間で、
最前から呼ばってぢゃ、
探してぢゃ、
尋𢌞してぢゃ。
愛ちやんは
其後から
直ぐに
其角を
曲りましたが、もう
兎の
姿は
見えませんでした。
愛ちやんは
屋根からずらりと一
列に
吊られた
洋燈の
輝いてる、
長くて
低い
大廣間に
出ました。
折しも
愛ちやんは、
大廣間の
屋根で
頭を
打ちました。
實際愛ちやんは
今九
尺以上も
身長が
高くなつたので、
直ぐに
小さな
黄金の
鍵を
取り
上げ、
花園の
入口へ
急いで
行きました。