堪難たへがた)” の例文
伯父九郎兵衞惣内の母諸共はゝもろとも九助が仕業しわざなりと訴訟うつたへ出しに依て召捕めしとられ晝夜拷問がうもんつよきにより九助は是に堪難たへがたおのれとがならぬ事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼が宮を追ひてまろび落ちたりし谷間の深さは、まさにこの天辺てつぺんの高きより投じたらんやうに、冉々せんせんとして虚空を舞下まひくだ危惧きぐ堪難たへがたかりしを想へるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それくらべてときは、鳥籠とりかごなかせまけれども、二疊にでふばかりあるらむを、なんぢ一人ひとり寢起ねおきにはよも堪難たへがたきことあるまじ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
我胸わがむね堪難たへがたしづめるとき
百度千度ももたびちたび繰返くりかへし候ても、是非に御耳に入れまゐらせ度存候たくぞんじさふらへども、今此の切なく思乱れをり候折さふらふをりから、又仮初かりそめにも此上に味気無あぢきなき昔を偲び候事は堪難たへがたく候故
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「いかにも堪難たへがたさふらふ飼鳥かひどりをおすゝまをせしはわたくし一世いつせい過失あやまち御宥免ごいうめんありたし」と只管ひたすらにわびたてまつりぬ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おとしながら漸々やう/\に申立る樣は私しこと全く以て平兵衞を殺し金子など取候おぼえは毛頭もうとう御座なく候へども是まで段々嚴敷きびしき拷問がうもんくるしさに堪難たへがたく御覽の通りの老體らうたいゆゑ其苦しみを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「あら苦し、堪難たへがたや、あれよ/\」と叫びたりしが、次第にものも謂はずなりて、夜も明方に到りては、ただ泣く声の聞えしのみ、されば家内の誰彼たれかれは藪の中とは心着こゝろづかで
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お花は聞て成程暑さの時分道中は堪難たへがたき物ならんがさりとて此所に浮々と長逗留して路用を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)