城普請しろぶしん)” の例文
城普請しろぶしんも京都表のことも、ほとんど顧みぬかたちで、何やら目に見えぬ他方面へとその毎日をふりむけていたが、やがて十二月に入ると
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
津田真道先生はこれを評して「秀吉の城普請しろぶしんのように、一夜に日本の五法を作り上げようとするは無理な話で、到底出来ようはずがない」
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
この公用とは所謂いわゆる公儀こうぎ(幕府のことなり)の御勤おつとめ、江戸藩邸はんていの諸入費、藩債はんさいの利子、国邑こくゆうにては武備ぶび城普請しろぶしん在方ざいかた橋梁きょうりょう堤防ていぼう貧民ひんみんの救済手当、藩士文武の引立ひきたて等、これなり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
時に明和めいわの元年、勝山の御城主にお成りなさいました粂野美作守さまのお城普請しろぶしんがございまして、人足を雇い、お作事さくじ奉行が出張でばり、本山寺へ入らっしゃいまして方々御見分が有ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
城普請しろぶしんやお屋敷なんぞをこしらえる時に、秘密の抜け穴や秘密仕掛けの部屋をこっそり造らえて、愈々出来上がってしまうと外への秘密が洩れちゃならねえというんで、工作人夫を生き埋めにしたり
材木や伊豆石や、城普請しろぶしんの用材をつんだ船が、誇張していえば、舳艫じくろをつらねてといえるほど、江戸湾に、それぞれの藩旗を並べていた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「御新開の江戸へ行ったところで、城普請しろぶしんだの弓鉄砲の仕事はあろうが、まだ遊女屋などの、悠長な商売は成り立つまい」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城普請しろぶしん奉行は——石田三成みつなり、増田長盛、浅野長政の三人。市区建設奉行は、堀久太郎、片桐且元、長束正家なつかまさいえなどである。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土塀下の石崩れの修築が手間どるとお云いだろうが、そんなことで、城普請しろぶしんは陣中の軍律も同様だなどと、広言を吐くのは、身の程を知らなすぎる。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「仰せには、春は百姓仕事がきりもなく忙しい。秋の収穫とりいれはこれからの丹精にある。そのような野良の手を、城普請しろぶしんのために徴発かりだしてはならんとあって」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勿論、通路に置かれてある場合などは仕方がないにしても、城普請しろぶしんの御用材である以上、一応は普請方の者へ向って、許しを乞うた上、踏むべきであった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れるはなを見、飛ぶ蝶に眠気ねむけを誘われ、のどかな町の音響や、城普請しろぶしんのみの音など聞いていると、将士は無為むいに飽いて、ふとそんな錯覚すら抱くのだった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、城普請しろぶしんの石揚げや石曳きに稼ぎに来ている労働者などは、明日あしたのことさえ、思っていないのである。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江戸城の改築をしているので、石工いしく、左官、大工の手伝いなどならその日からでも、仕事があったが、城普請しろぶしんの労働の辛い味は、伏見城でもさんざんめているので
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あ……お城普請しろぶしんの折の大工棟梁あばたも手伝いに見えておるな。左官の女房もやって来ておる。……炭薪すみまき奉行の頃から親しい、山の者も村の者も。……何ぞといえば忘れずに皆」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江戸城を中心とする町割まちわりや河川の土木や城普請しろぶしんには、新しい時代の力が味方した。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御当家の城普請しろぶしんや造船や、また火薬兵器の御用意などが、着々とすすむにつれて、筑後柳川ちくごやながわの諸藩をはじめ、京都の中心はもとよりのこと、江戸表の大弐だいになどもしきりに、ひそかな兵備を
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
啓之助はそれをさいわいに、誰よりも早く、庭手へ下りかけようとすると、そこへ作事奉行さくじぶぎょうの中村兵庫ひょうご城普請しろぶしん棟梁とうりょう益田藤兵衛ますだとうべえ、そのほか石垣築いしがきづきの役人などが、落ちつきのない顔色でバラバラと
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何しろ、急激にえてゆく江戸の人口は、それほど無神経でなければ納まりがつかなかった。その中で多いのは、やはり労働者であった。わけて河川改修と、城普請しろぶしんの仕事に就く者たちである。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、城普請しろぶしんのできた祝いに、城下は五日の踊りがある騒ぎだった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城普請しろぶしんは、徳川の戦後政策の一つだった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)