トップ
>
圏
>
けん
ふりがな文庫
“
圏
(
けん
)” の例文
旧字:
圈
すなわち土俵を作り、それを標準とするが、この土俵なるものは
天然
(
てんねん
)
に定まれる一定
不易
(
ふえき
)
の
圏
(
けん
)
でなく、人為的に仮りに定めたるに過ぎぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
なぜならば、今、上月城にたてこもっている尼子一族の孤軍は、織田家を頼って、数年来、その先駆的な役割を、毛利勢力
圏
(
けん
)
の敵地に
努
(
つと
)
めて来たものだ。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
次いで死の廻りに大きい
圏
(
けん
)
を
画
(
ゑが
)
いて、
震慄
(
しんりつ
)
しながら歩いてゐる。その圏が
漸
(
やうや
)
く小くなつて、とうとう疲れた腕を死の
項
(
うなじ
)
に投げ掛けて、死と目と目を見合はす。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と、その一つの月の光の
圏
(
けん
)
へ一人の女が現われた。痩せ細った身体、痩せ細った顔、髪は乱れて肩へかかり、裾は崩れて
脛
(
はぎ
)
を現わし、見る影もなく
窶
(
やつ
)
れている。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし、十問中七問以上が確実に出来なければ及第
圏
(
けん
)
にはいらない、というのが次郎たちの常識だった。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
▼ もっと見る
ぽうっと
仄白
(
ほのじろ
)
く
網膜
(
もうまく
)
に映じた彼にはそれが繃帯とは思えなかったつい二た月前までのお師匠様の円満微妙な色白の顔が
鈍
(
にぶ
)
い明りの
圏
(
けん
)
の中に
来迎仏
(
らいごうぶつ
)
のごとく
浮
(
う
)
かんだ
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ふっと気がついて見るともう北極
圏
(
けん
)
に入っているんだ。海は
蒼黝
(
あおぐろ
)
くて見るから冷たそうだ。船も居ない。そのうちにとうとう僕たちは氷山を見る。朝ならその
稜
(
かど
)
が日に光っている。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この地方一帯は、足利家の管領
斯波
(
しば
)
氏のわかれ最上一族の勢力
圏
(
けん
)
内であった。甚助の父も、最上家の臣だった。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
処罰の
範囲
(
はんい
)
が最小限度に食いとめられ、自分たちはその
圏
(
けん
)
外に立ちたいという、無意識的な希望的観測から、自然、次郎というのっぴきならないらしい「犯罪者」と
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
うすら寒く廣々とした座敷の中に
屏風
(
びょうぶ
)
を囲って、四方から詰め寄せる真っ黒な夜の闇を燈心の灯で防ぎながら、その、ぽつりと一点水に油を
滴
(
た
)
らしたような
纔
(
わず
)
かな明りの
圏
(
けん
)
の
裡
(
うち
)
に
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自分はその後、諸国をめぐって、あらゆる反信長
圏
(
けん
)
の
連繋
(
れんけい
)
に成功した。中国の毛利どのもこれに加盟した。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は体じゅうの衣類を全部キレイに
剥
(
は
)
ぎ取られ、一絲も纏わぬ姿にされて仰向けに
臥
(
ね
)
かされ、フローアスタンドと、枕元の螢光燈のスタンドとが青白い
圏
(
けん
)
を描いている中に曝されていた。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は、陣中第一の駿足を選んでそれにまたがり、一鞭を加えて、敵の包囲
圏
(
けん
)
へ駈けこんで行った。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
スタンドの光線を
遮蔽
(
しゃへい
)
して、室内のほんの一部分だけを、辛うじて新聞が読める程度に明るくしてあるのだが、その明るい光の
圏
(
けん
)
の端の方に、ライラックが
仄白
(
ほのじろ
)
く
匂
(
にお
)
っている、———その白い影を
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
逐日
(
ちくじつ
)
、織田遺業の勢力
圏
(
けん
)
に、秀吉なる名が、何とはなく、
澎湃
(
ほうはい
)
たる威勢をもって聞え出して来たことは、勝家として、到底、
晏如
(
あんじょ
)
としているに忍びない現象であるのだ。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
備前、
美作
(
みまさか
)
の二州を擁して信長勢力と毛利
圏
(
けん
)
内との、ちょうど中間にある山陽の宇喜多家は、或る意味での中国の将来は、その
向背
(
こうはい
)
によって定まるといっても過言ではないのである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戦国の
焦土
(
しょうど
)
から、徳川覇府の建設へと、政治的な幾変転が繰り返される間にも、文化の
炬火
(
きょか
)
は、
煌々
(
こうこう
)
と絶ゆることなく燃やし続けられたが、その文化
圏
(
けん
)
の最も輝かしい光芒は、幽斎細川
藤孝
(
ふじたか
)
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえ成算はあったにしろ、一族
悉皆
(
しっかい
)
でもわずか百五十騎という小勢で起ったその勇気は驚目にあたいする。——それも四隣すべて北条勢力
圏
(
けん
)
とみられていた関東平野のまん中から起ったのだ。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“圏”の意味
《名詞》
(けん)(数学)数学的構造を持った対象とその構造を反映するような対象間の射の集まりからなる数学的枠組み。
(けん)マリ共和国の地方行政区画のひとつ。
(出典:Wiktionary)
圏
常用漢字
中学
部首:⼞
12画
“圏”を含む語句
頸圏
圏外
重力平衡圏
気圏
圏内
圏点
成層圏
颱風圏
大圏
陣圏内
要塞地圏
統業圏内
無敵圏
引力圏
平衡圏
射程圏外
天圏
中心圏
圏谷
圏線
...