合力ごうりょく)” の例文
厄介やっけえにはなりません、稼ぎがあります、何だっけ、えゝ歌ア唄って合力ごうりょくとかいう菓子を売って歩いても世話にならねえから、置いてやって下せえな
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まあ、何はいて、嫁の内の財産を云々うんぬんするなんざ、不埒ふらちいたりだ。万々一、実家さとの親が困窮して、都合に依って無心合力ごうりょくでもしたとする。可愛い女房の親じゃないか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここにおいて檄文げきぶんを造り、これを飛ばして、国人中に同志を得、共に合力ごうりょくして、辮髪奴べんぱつどを国外に放逐ほうちくし、朝鮮をして純然たる独立国とならしむる時は、諸外国の見る処も
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
聞き知らない名前ではあるが、注文状であるというのでともかくも封をひらいて読むと、それは商売物の書籍類の注文ではなくて、ある浪人から無心合力ごうりょくの手紙であった。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこで西にしひがしみなみきたたにんでいるひとたちやら、もっととおくのあっちこっちのむらまで合力ごうりょくしてもらいにいったんだそうだ。合力ごうりょくというのは、たすけてもらうことなのさ。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
止むなくんば道々乞食をして帰るのだが、こうなってもさすがにまだ私は、人の門に立って三厘五厘の合力ごうりょくを仰ぐまでの決心はできなかった。見えか何か知らぬがやっぱり恥しい。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
のみならず家康のしょうまんかたも彼女の生んだ頼宣よりのぶのために一時は彼に年ごとに二百両の金を合力ごうりょくしていた。最後に直之は武芸のほかにも大竜和尚だいりゅうおしょう会下えかに参じて一字不立いちじふりゅうの道を修めていた。
古千屋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
自分はさっきから旅費旅費と聞かされるのを、ただ善意に解釈していたが、さればと云ってごうも貰う気は起らなかった。昨日きのう飯場頭はんばがしら合力ごうりょくを断った時の料簡りょうけんと同じかと云うと、それとも違う。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
弟夫婦は年少としわかきまま無益むやく奢侈おごりに財をついやし、幾時いくばくも経ざるに貧しくなりて、兄のもと合力ごうりょくひに来ければ、兄は是非なく銭十万を与へけるに、それをも少時しばしつかひ尽してまた合力を乞ひに来りぬ。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
宇陀うだ浅間山せんげんやま北條彦五郎ほうじょうひこごろうという泥坊が隠れていて、是は二十五人も手下の者が有るので、合力ごうりょくという名を附けて居廻いまわりの豪家ごうかや寺院へ強談ごうだんに歩き、沢山な金を奪い取るので
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
実にわしは薄命の身の上であるが致し方はないから、一節切を吹いて人の軒先へ立ち一銭二銭の合力ごうりょくを受けながら江戸表へ立帰ろう、もし大野惣兵衞の居処が分れば、私は盲目ゆえとてあだは討てんから
というはまさしく合力ごうりょくを頼みに来たものと察しましたから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いさゝかの合力ごうりょくを受けましても自分のたべるだけの事は致す心得
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)