「それが可怪しいんで、せっかく穴は拵えたが、あんまり小さくて、泥棒が入れなかったそうですよ。間抜けな話じゃありませんか」
尠くとも、今迄は相当に微細な小径まで符合していた地図が、この沼に限ってそれを全然落している、というのも可怪しなことだった。
しかし可怪しくはないので、非常にいい学校ということになっているので、シカゴからも、他の町からも、沢山生徒が来るからである。
未だ其上に可怪しいのは、此上天気に紺蛇の目の雨傘を持っていた。其癖素足に藁草履を穿いて、ピタピタと路を踏むので有った。
なにしろこの騒動のおこる前に、鍋久で二度も金を取られたというのがどうも可怪しい。だが、ここにもう一つ考えようがある。