半道はんみち)” の例文
と心中に神々を祈りながら熊にいてまいります。やがて半道はんみちも来たかと思いますと、少し小高き処に一際ひときわ繁りました樹蔭こかげがありまする。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
町から四里ほどもはなれている近在を自転車で駈けずりまわって、日の暮れる頃に帰って来ると、もう半道はんみちばかりで町の入口に行き着くというところで、自転車に故障ができた。
火薬庫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「はあ、別に旅籠屋と言って、何ですな、これから下へ十四五町、……約半道はんみちばかりきますと、湯の立つ家があるですよ。ほかは大概一週間に一度ぐらいなものですでなあ。」
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
推理は、やっと半道はんみち来たばかりだ。その先が、難物なんぶつだ。とても手におえそうもない。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ベルリンから半道はんみちばかりの、ストララウと云う村に、スプレエ川の岸で、桜の沢山植えてある所があります。そこへ日本から行っている学生がそろって、花見に行ったことがありましたよ。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
うちのすぐ近くに宿屋が一軒と人家じんかが二軒と、それから広っの向う側に小屋が一つあるきりで、あとは停車場ていしゃばへ行くまで半道はんみちもの間うち一軒ありません。——私は商売できまった期間だけ町に行きます。
黄色な顔 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)
ものの半道はんみちとはのぼらないのに、くるまきしつよく、平地ひらちでさへ、けてさか、一分間ぷんかんに一すんづゝ、次第しだいゆきかさすので、呼吸いきつても、もがいても、腕車くるまは一すゝまずなりぬ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
台場だいば停車場ステエションから半道はんみちばかり、今朝けさこの原へかゝつた時は、脚絆きゃはんひも緊乎しっかりと、草鞋わらじもさツ/\と新しい踏心地ふみごこち、一面に霧のかゝつたのも、味方の狼煙のろしのやうにいさましく踏込ふみこむと、さあ、ひとひと
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)