前方まへがた)” の例文
『そんなことめ!』と女王樣ぢよわうさまさけんで、『眩暈めまひがする』それから薔薇ばら振向ふりむいて、『なにをお前方まへがた此處こゝでしてたのか?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
主謀たる自分は天をもうらまず、人をもとがめない。たゞ気の毒に堪へぬのは、親戚故旧友人徒弟たるお前方まへがたである。自分はお前方に罪を謝する。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
こんな溝板どぶいたのがたつくやう店先みせさきそれこそひとがらがわろくてよこづけにもされないではないか、お前方まへがたすこしお行義ぎようぎなほしてお給仕きふじられるやうこゝろがけておれとずば/\といふに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
阿母おつかさんても参つてられないから、お前方まへがたは阿母の代りまで勤めねばなりませんと申すので御座いますよ、ほんとに皆様みなさんの御体が御羨おうらやましう御座いますことネ、ですから、貴女あなた、婦人会の方などもネ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
やがてグリフォンが海龜うみがめふには、『もつときをサ!はやくしないとくれるよ!』うながされてやうやかれは、『まつたく、わたしどもはうみなか學校がくかうつたのです、お前方まへがたしんじないかもれないけど—』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
一大事であるが、お前方まへがたはどう身を処置するか承知したいと云つたのだ。おれは一大事とは何事か問うて見た。先生はざつとこんな事を説かれた。我々は平生良知りやうちの学ををさめてゐる。あれは根本のをしへだ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)