到着とうちゃく)” の例文
一旦列車が到着とうちゃくしたとなれば、もう自分のお客を探すことで心中一パイになってしまい、まったくそれどころではないのであった。
三の字旅行会 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
そしてネネムはまちをこめた黄色の夕暮ゆうぐれの中の物干台にフゥフィーボー博士が無事に到着とうちゃくして家の中に入って行くのをたしかに見ました。
そして、かれらの名前をきき、それを名簿とてらしあわせて、到着とうちゃくのしるしをつけおわると、すぐかれらに朝倉夫人を紹介しょうかいした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
からすは、かもめのようにそらたかく、またはやぶことはできませんでした。それでも幾日いくにちかかかって、にぎやかなみやこ到着とうちゃくいたしました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
しろがどうやらできあがったころ、明軍みんぐん十四まんの大兵が京城けいじょう到着とうちゃくし、この蔚山城うるさんじょうをひともみに、もみ落とそうと軍議していることがわかった。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
そのうち、注文したわながたくさん到着とうちゃくした。わたしは大急ぎでそれを組み合わせ、夜になってから原の方々へめておいた。
みやこの方では、はっていたくさりがゆるんできたので、人びとはそれをたぐりました。帰りには、重い石をもっていたので、巨男おおおとこは三十日かかってやっと都に到着とうちゃくしました。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「それに先だって古賀が去ってから、まだ後任が事故のために到着とうちゃくしないだろう。その上に君と僕を同時に追い出しちゃ、生徒の時間に明きが出来て、授業にさしつかえるからな」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
○「如何にして日を暮らすべき」「誰かこの苦を救ふてくれる者はあるまいか」ここに至つて宗教問題に到着とうちゃくしたと宗教家はいふであらう。しかし宗教を信ぜぬ余には宗教も何の役にも立たない。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
いよいよわたくしにとりて地上ちじょう生活せいかつ最後さいご到着とうちゃくいたしました。
きまった役割のないのは、朝倉先生と次郎だけだったが、この二人には、到着とうちゃくした先で自然に何かの役割が生じて来るはずだったのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
みんなのちからで、たちまちのうちに、いろいろの食物しょくもつが、まち商店しょうてん到着とうちゃくしました。それで、美代子みよこの一も、このくずだらけのまめべなければならぬことがなくてすみました。
ごみだらけの豆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と私はさじを投げ、大型のわなを郷里きょうりへ注文してその到着とうちゃくを待った。
「一時に到着とうちゃくという約束になっていますので、もうすぐ、見えるでしょう。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
まきすみや、石炭せきたん生産地せいさんちから直接ちょくせつ輸入ゆにゅうして、そのおろしや、小売こうりをしているので、あるときは、えき到着とうちゃくした荷物にもつろしを監督かんとくしたり、またリヤカーにんで、小売こうさきはこぶこともあれば
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)