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兩國
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りやうごく
六丁目を
乘出した
其の
自動車で、
自分兩國を
乘切らう
意氣込、が、
思ひがけないパンクで、
時も
過ぎれば、
氣が
拔けたのださうである。
習はせんと思へども然るべき
師匠なきにより江戸
兩國横山町三丁目
角にて
折廻し間口奧行拾三間づつ
穀物乾物類を
商ひ則ち古河の吉右衞門が出店なるを
もういよ/\
料簡がならねえ。うぬ、
生膽を取った上で、
兩國のもゝんじい屋へ賣飛ばすからさう思へ。
「
口ぢやあ
兩國まで
飛んだやうだが、
向うへ
何うして
渡るのさ、
橋といふものがないぢやあないか。」
連て
兩國淺草等又は所々の
縁日熱閙場へ日毎に
出歩行給ひければ
自然と
下情に通ず
萬端如才なく成給へり程なく一ヶ年も
過將監も
江戸在勤の年限
果ければ又も徳太郎君を
尾て是迄は參りしなれども
夜中と
云御知己にも有らねば
河岸にある
材木薪などの
蔭にて夜を
明し
兩國へ
到りて食事をなし
好時分と存じ
只今參上仕つりしなり昨夜鈴ヶ森にて助十と
御呼成れたる
故夫を