へい)” の例文
理不尽りふじん阿魔女あまっちょが女房のいる所へどか/\へいって来て話なんぞをしやアがって、もし刃物三昧はものざんまいでもする了簡りょうけんなら私はたゞは置かないよ
「エエ、ごみへいった……」と背中へ手を突っこみながらふりかえってみると、むしろをかぶせた四角い荷物。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女の身体というものは、へえ油断がならねえ。あれで血の道でも起ってからに、万一もしもの事が有って見ろ。これが巡査おまわりさんの耳へへいったものならお前はまあどうする気だぞい——痴児たわけめ。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
權「之れを寄せると又此方へ寄るだ、懐へこれをれると格好がいと、お千代が云いましたが、何にもへいっては居ません」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それを引揚げて置いて、毎晩わしが鼻緒をたって、ギュウッと真中まんなかを締めて置いた、それに水の中へへいったんだからせんより丈夫になって居りやす
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わし中々そうはさせねえな、着物がわしが身に付こうとすると、飛んでもねえ着物だと云って寄付よせつけず、又旨い物だっておらア口へへいろうとしても
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
新町河原しんまちがわらわきだまうちに渡邊様の子を殺して逃げたというんだが、大騒ぎよ、八州が八方へ手配りをしたが、山越やまごしをして甲府へへいったという噂で
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
へえ立前たちめえは戴きます、ま此方こっちへおあがんなすって、なに其処そこを締めろぴったり締めて置け、砂がへいっていかねえから……えゝゝ風がへいりますから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
帰りに水戸様めえの砂利の中へへいるもんだから草鞋もたちまちぶっ切れて、日に二足位はって誠にむだだアから、わし思うに
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この頃では盗人ぬすびと仲間へへいった身の上だ、斯う成ったのも実はと云うと、汝兄弟のお蔭なんだ、さア金を出せえ
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
伴「うたぐるなら明日あしたの晩手前てめえが出て挨拶をしろ、おれ真平まっぴらだ、戸棚にへいって隠れていらア」
又「五十円の金がへいったから、すぐに帰ろう、えゝ寒かった、一緒にこう」
伴「手前てめえ先へへいれ、手前はこゝの内の勝手をよく知っているじゃアねえか」
國「勿体もってえねえことをお云いなさる、此間こないだ親父の墓場へ往って石塔へ向って、業平橋の旦那のお蔭でおめえの下へへいれるようになったよと云ったが、親父も草葉の蔭で安心しましたろうと思いますのさ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
森「旦那、うっかりへいっちゃアいけませんよ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)