とう)” の例文
旧字:
伊那丸いなまるの一とうが立てこもる小太郎山こたろうざんとりでが、いま、立っている真上まうえだとは、ゆめにも知らずにいただけに、身のさむくしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ロボの一とうは、非常に数が多いようにいわれているが、私の調べたところでは、五、六頭にすぎないようだ。しかし、どれもこれも狂暴きょうぼうなやつばかりである。
これ暖国だんこくにはなき正月あそびなり。此鳥追櫓とりおひやぐら宿内しゆくないにいくつとなくつくとうをなしてあそぶ。
縦令たとひ石橋いしばしたゝいて理窟りくつひね頑固ぐわんことうことの如く、文学者ぶんがくしやもつ放埓はうらつ遊惰いうだ怠慢たいまん痴呆ちはう社会しやくわい穀潰ごくつぶ太平たいへい寄生虫きせいちうとなすも、かく文学者ぶんがくしや天下てんか最幸さいかう最福さいふくなる者たるにすこしも差閊さしつかへなし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
この声と共にたんとうを主に凡そ五百騎が岸にくつわを並べて今にも躍りこもうとした。
藩の事務をさまたげそのいずれの種族にとうするなどと評せられたることなし。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
イルコックの三人ととうを組んで、食事のときのほかは一同と顔をあわすこともほとんどまれとなり、多くは洞穴の一ぐうにひとかたまりとなって首をあつめなにごとかひそひそと語りあうのであった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
折から山県蔦之助やまがたつたのすけもかけつけた。あらためて伊那丸いなまるこころざしをのべ、一同にも引きあわされて、一とうのうちへ加わることになった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これ暖国だんこくにはなき正月あそびなり。此鳥追櫓とりおひやぐら宿内しゆくないにいくつとなくつくとうをなしてあそぶ。
こうとうといえば、ちょっとした名族である。祖は山階家やましなけから出ており、三河、武蔵、下野しもつけあたりに、子孫は分布されている。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その健気けなげ乙女おとめごころを天もあわれんだものか、彼女はゆくりなくも、きょう伊那丸いなまると一とうの人々に落ちあうことができた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)