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おいら
ふりがな文庫
“
俺
(
おいら
)” の例文
「
俺
(
おいら
)
あ
可厭
(
いや
)
だぜ。」と押殺した
低声
(
こごえ
)
で
独言
(
ひとりごと
)
を云ったと思うと、ばさりと
幕摺
(
まくず
)
れに、ふらついて、隅から
蹌踉
(
よろ
)
け込んで見えなくなった。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「東郷大将は、もう往っちゃったのか、東郷大将は」淋しそうに笑って、「
俺
(
おいら
)
もなあ、あの時鵜沢連隊長殿と
戦死
(
うちじに
)
してたらなあ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「厭になるよ。こんなに身代が肥つて来ちや、今度の邸が出来上つたからつて、
俺
(
おいら
)
の身分として今更あんな
土地
(
ところ
)
にも
引込
(
ひつこ
)
めなからうしさ。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「別嬪だなあ——庄、上々に行ったよ。お邸からすぐ、横目付が来てね。邸から、明日とも云わず、叩き出すって——
俺
(
おいら
)
あ、胸がすっとしたよ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
もちろん、こんな生意気を並べ立てたところで
俺
(
おいら
)
、三遊の圓朝さんみたいな立派な「人間」にとてもなれようわけはねえ。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
▼ もっと見る
小僧は
怪訝
(
けげん
)
な顔をして、「
俺
(
おいら
)
はそんなとこを見たことはねえよ。だって、あれからまだ一度も来たのは知らねえもの」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
ちょっと耳をかしてもらいてえのだが、
俺
(
おいら
)
これから信州へ一人で落ちて行こうと思うのだ。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「無えよ、うむー。正に無え、……
俺
(
おいら
)
の手腕はとうにしびれッちまつた。手腕ばかりならいいが、脛も腰も、骨も肉も、ないし魂も根性もだツ、立派に腐つた……。しびれきつてしまつたてえ事ッ。碌でなしだからな」
もつれ糸
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
「そうよ、其奴を、
旦
(
だん
)
が
踏潰
(
ふみつぶ
)
して怒ってると、そら、
俺
(
おいら
)
を
追掛
(
おっか
)
けやがる
斑犬
(
ぶちいぬ
)
が、ぱくぱく
食
(
くい
)
やがった、おかしかったい、それが昨日さ。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「今晩はだめだよ、今度にしよう」何か考えて、「どうだ、
俺
(
おいら
)
の家へ往かないか、この
比
(
ごろ
)
、親爺は、
田舎
(
いなか
)
へ往って留守なのだよ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
だから、女房にもとうの、妾にしようの——いや、手を握ることさえ、
俺
(
おいら
)
あ、諦めているよ。立派に、ちゃんと、駈引無しに、諦めちゃあいるよ。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「お前はお前、俺は俺だ。ソ、そんな情ねえ根性の奴たア。きょうから限り、
俺
(
おいら
)
、おつきあいは真っ平御免だ」
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「困つたな、ああして拵へはしたものの、今の
俺
(
おいら
)
の身分では、あんな安つぽい
家
(
うち
)
には入れんからな。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「どうだか、
俺
(
おいら
)
はそんなことは気をつけてねえから……や! お上さん」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
「お互さまじゃねえや、
俺
(
おいら
)
はもとからの
破戸漢
(
ならずもの
)
だ、おめえは学生から、おっこちて来たのだ、物が違わあ、いっしょにせられてたまるものかい」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お嬢さんが
縋
(
すが
)
りついて留めてたがね。へッ
被成
(
なさる
)
もんだ、あの爺を
庇
(
かば
)
う位なら、
俺
(
おいら
)
の
頬辺
(
ほっぺた
)
ぐらい指で
突
(
つつ
)
いてくれるが
可
(
い
)
い、と其奴が
癪
(
しゃく
)
に障ったからよ。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
のう、深雪、賞めるぜ、
俺
(
おいら
)
あ——惚れた弱味ってこのことだ。お由羅あ、俺の実の妹で、俺を、この身分にしてくれた、何んだなあ、旦那様みてえなもんさ。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「元からそうなンだよ
俺
(
おいら
)
。こう見えたって橘家圓太郎は文明開化の落語家だからネ。人間万事独力独行さ。第一そのほうが成功したときに精神爽快を覚えるよ」
円太郎馬車
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
俺
(
おいら
)
に何か言われちゃあ、後で始末が悪いもんだから、同類の芋虫まで、自分で
宥
(
なだ
)
めて連れて行ったまでのこッた。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俺
(
おいら
)
、その苦労の家元って奴と心やすくなって、盆暮にゃお付け届けをしてやるから。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
恐しいといって
身震
(
みぶるい
)
をしやあがって、コン畜生、その癖
俺
(
おいら
)
にゃあ三杯と
啜
(
すす
)
らせやがって、鍋底をまた
装
(
も
)
りつけたろう、どうだ、やい、もう
不可
(
いけ
)
ねえだろう。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俺
(
おいら
)
三遊亭圓生の弟子になれた。今度こそほんとうの落語家になれたんだ。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「ざまあ見やがれ、
俺
(
おいら
)
が寄席へ
行
(
ゆ
)
くのを
愚図々々
(
ぐずぐず
)
吐
(
ぬか
)
しやがって、鉄さんだってお所帯持だ、心なくッて
欠厘
(
けちりん
)
でも
贅
(
むだ
)
な銭を使うものかい、地震除だあ、おたふくめ、」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「出てえ……やっぱり
俺
(
おいら
)
、寄席へ出て
落語家
(
はなしか
)
がやっててえ」
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「止しねえ、お
前
(
めえ
)
、お前さんの方がよッぽど
可
(
い
)
いや、素晴しいんじゃないか。
俺
(
おいら
)
のこの、」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とするとこの
俺
(
おいら
)
はさしずめ蜆か。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
滝太郎はものの命を取る時に限らず、するな、止せ、
不可
(
いけな
)
いと人のいうことをあえてする時は、手を動かしながら、幾たびも
俺
(
おいら
)
のせいじゃないぞと、口癖のようにいつも言う。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「黙れ! 生れてから、
俺
(
おいら
)
、目違いをしたのは、お前達二人ばかりだ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お止し遊ばせば可いのに、お
妖怪
(
ばけ
)
と云えば
先方
(
さき
)
で怖がります、田舎の
意気地
(
いくじ
)
無しばかり、
俺
(
おいら
)
は
蟒蛇
(
うわばみ
)
に呑まれて
天窓
(
あたま
)
が
兀
(
は
)
げたから湯治に来たの、狐に
蚯蚓
(
みみず
)
を食わされて、それがためお
肚
(
なか
)
を痛めたの
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“俺”の意味
《代名詞》
(おれ)主に男性が用いる、ぞんざいな自称。
(出典:Wiktionary)
俺
常用漢字
中学
部首:⼈
10画
“俺”を含む語句
俺等
俺家
俺達
俺共
俺許
俺故
俺方
此方俺