みやこ)” の例文
ぬる年、みやこにありつる日、鎌倉の兵乱ひやうらんを聞き、九二御所のいくさつひえしかば、総州に避けてふせぎ給ふ。管領くわんれいこれを責むる事きふなりといふ。
この講堂はもと奈良のみやこの朝集殿であった。すなわち和銅年間奈良京造営の際の建築である。しかし現在の建築には天平の気分はほとんど認められない。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
旅人のはみやこにあって筑紫を詠んだのだから、間接のようだが、これは筑紫に残っている沙弥満誓さみのまんぜいこたえた歌だから、そういう意味で心に直接性があるのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
西の海東の山路、かなたこなた巡りましつつ、あきらけくおさまる御世の、今年はも十あまり三とせ、瑞枝みずえさす若葉の夏に、ももしきの大宮人の、人さはに御供みともつかへて、ひんがしみやこをたたし
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
きよみやこに携えゆき殿みや頂上いただきに立たせていいけるは爾もし神の子ならばおのが身を下へなげそはなんじがために神その使つかいたちに命ぜん彼ら手にて支え爾が足の石に触れざるようすべしと録されたり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
一戦も交じえずに、みやこへさして敗退した平維盛これもり忠度ただのりなどを追撃して
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一 しようぢ申や限なし、一礼申て立や友たつ、みやこ
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
此の隣なる家のあるじなりしが、一二九過活わたらひのためみやこに七とせまでありて、きその夜帰りまゐりしに、既に荒廃あれすさみて人も住ひ侍らず。
「今しらす久邇くにみやこいもに逢はず久しくなりぬ行きてはや見な」(巻四・七六八)というのもある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
此の後はみやこに出でて雀部を六二とぶらひ、又は近江に帰りて児玉に身をせ、七とせがほどは夢のごとくに過しぬ。
わがさかりまた変若をちめやもほとほとに寧楽ならみやこを見ずかなりなむ 〔巻三・三三一〕 大伴旅人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)