予々かね/″\)” の例文
旧字:豫々
しかる処昨日御家老より致しまして、火急のお呼出しで寅の門のお上屋敷へ罷出まかりでましたが、私は予々かね/″\兄より言付かって居りますから、是なる勘八に
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
見物するなんて酔興なはなしだな、君の物好には予々かね/″\怖れ入つてゐるんだから、まあ、いづれお天気の好い日にでも見物することゝして、今日のところは願ひさげにしようかね。
冬物語 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
今奈良にゐる石崎杏隠きやういんといふ爺さんで、鉄斎翁はこれまで一度も逢つた事はなかつたが、名前だけは予々かね/″\聞いて知つてゐたので、今その名を想ひ出すと、息子を救つてくれるのは
秋山氏が、文壇での論戦などでも、自分自身の溢れるやうな才気に乗じて、常に相手を馬鹿にしたやうな、おひやらかしてしまふやうな態度に出ることは、信一郎も予々かね/″\知つてゐた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
(起き上る。呼鈴を押す)わたしも、実は、お医者といふものに、予々かね/″\、疑ひをもつてゐた。何処まで信用ができるかといふことを考へてゐた。それで、すつかりわかりました。いや、面白い。
医術の進歩 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
成程伊香保で御懇命ごこんめいこうむった……是は始めて御意得ます、予々かね/″\此の者からお噂ばかり聞いて居りますが、此者これは私の姪筋めいすじに当る者でござるが、不幸にして男縁がなく
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
亭主は予々かね/″\贔屓ひいきになつてゐる鴻池の主人だといふので、料理から器までつたものを並べた。そのなかの一つに例の秘蔵の宝物と同じ青磁の皿に、一寸したつまさかなが盛られたのがあつた。
青磁の皿 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
わたくし、予々かね/″\、出版といふ仕事に興味をもつてをりまして……。
雅俗貧困譜 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「おゝ、ジロウ——お前のことは予々かね/″\お前の兄から……」
ガール・シヤイ挿話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
それまでの間は何卒どうぞ自害するの海へ飛込むのなどということは予々かね/″\申す通りとゞまって、こりゃアわたくしがお願いです、もないとわたくしが是まで尽した事はみんな水の泡になるから
亭主は予々かね/″\贔屓ひいきになつてゐる鴻池の主人だといふので、料理から器までつたものを並べた。そのなかの一つに例の秘蔵の宝物と同じ青磁の皿に、一寸したつまさかなが盛られたのがあつた。
何うも其方そち予々かね/″\人の噂に聞くに、山三郎という男はあれは妙な男で、幼年の頃から剣術をつかって大分だいぶ武芸を学んで、殊に力が十八人力あるなどという事が己の耳にもちら/\入るが
アハヽヽおどろいちまつたな……コヽ予々かね/″\まねきになりました半田屋はんだや長兵衛ちやうべゑで。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ヘヽヽ御冗談ごじようだんばかり……へえ成程なるほど……えゝ予々かね/″\天下有名てんかいうめいのおかたで、大人たいじんいらつしやるとことぞんじてりましたが、今日けふ萬屋よろづやうちはじめてくのだから、故意わざ裏口うらぐちからお這入はいりになり
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)