冬物語ふゆものがたり
その田舎の、K家といふ閑静な屋敷を訪れて、私は四五年振りでそこの古風な庭を眺めることを沁々と期待してゐたが、折悪しく激しい旋風がこゝを先途と吹きまくつて止め度もなく、遥かの野面から砲煙のやうに襲来する竜巻の津波で目もあけられぬ有様だつた。 …