その田舎の、K家といふ閑静な屋敷を訪れて、私は四五年振りでそこの古風な庭を眺めることを沁々と期待してゐたが、折悪しく激しい旋風がこゝを先途と吹きまくつて止め度もなく、遥かの野面から砲煙のやうに襲来する竜巻の津波で目もあけられぬ有様だつた。 …
著者 | 牧野信一 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「中外商業新報 第一七九六四号~第一七九六六号」中外商業新報社、1936(昭和11)年1月24日~26日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約8分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約14分(300文字/分) |