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不料簡
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ふれうけん
……そんな
不料簡なのは
冷やつことは
言はせない、
生の
豆府だ。
見てもふるへ
上るのだが、
食はずには
居られない。
何時まで
獨身で
居る
心が
數へる
歳の
心細さ
是ほどならばなぜ
昔お
詞そむいて
厭ひしか
我れと
我が
身知れませぬ
母さまなしのお
手一つに
御苦勞たんと
懸けまして
上の
上にも
又幾年お
心休めぬ
不料簡不孝のお
詫は
向後さつぱり
芳さまのこと
思ひ
切つて
何方への
縁組なれ
仰せに
違背は
で、たゞ
匁で
連出す
算段。あゝ、
紳士、
客人には、あるまじき
不料簡を、うまれながらにして
喜多八の
性をうけたしがなさに、
忝えと、
安敵のやうな
笑を
漏らした。