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一廓
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いっかく
ふりがな文庫
“
一廓
(
いっかく
)” の例文
住居も、
一廓
(
いっかく
)
のうちに、家族たちのいる奥とよぶ所と、彼の
愛妾
(
あいしょう
)
たちを置く、
下
(
しも
)
の
棟
(
むね
)
とよぶところと、ふた所にわかれている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この建物の全体の構造から来るのであろうか、この建物の
一廓
(
いっかく
)
に起るすべての物音は自然に中央に向って集まるように感ぜられるのであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
これから発達しようという由布院の温泉地の
一廓
(
いっかく
)
からは全くかけ離れているので、少しも気づまりな点がなかった。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その日はある高貴なお方の御来場を
仰
(
あお
)
ぐというので、午後二時から、各陳列場の入口を
閉
(
とざ
)
し、一般観衆は
暫
(
しばら
)
くの間、余興場の立並ぶ
一廓
(
いっかく
)
へと追い出された。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
細川
越中守
(
えっちゅうのかみ
)
屋敷の少し先、雑司ヶ谷鬼子母神にいたる
一廓
(
いっかく
)
に百姓風ながら高々と生垣を
囲
(
めぐ
)
らし、
藁屋根
(
わらやね
)
の
庇
(
ひさし
)
を
反
(
そ
)
らした構え、これに玄関を取付け、
長押
(
なげし
)
を打ったら
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
この附近には
古画
(
ふるえ
)
や古本や文房具の類を
商
(
あき
)
なっている店が軒を並べて
一廓
(
いっかく
)
を
成
(
な
)
している町がある。
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
めっきりと冷える朝ではあったが、そこはうしろになだらかな
斜面
(
しゃめん
)
を持った山を
繞
(
めぐ
)
らした、風のあたらない、なごやかな日だまりになった
一廓
(
いっかく
)
で三四軒の家がいずれも紙をすいていた。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ここいらは
厩戸皇子
(
うまやどのおうじ
)
の御住居のあとであり、向うの
金堂
(
こんどう
)
や塔などが立ち並んでおのずから厳粛な感じのするあたりとは打って変って、大いになごやかな雰囲気を漂わせていてしかるべき
一廓
(
いっかく
)
。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
右の方は畑を越して武家屋敷から町家につづいているものらしく、左の方を見ると、そこに
一廓
(
いっかく
)
の人家があって、あたりの淋しいのにそこばかりは、昼のようにかがやいているのを認めます。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
催
(
もよおし
)
のかかることは、ただ
九牛
(
きゅうぎゅう
)
の
一毛
(
いちもう
)
に過ぎず候。
凱旋門
(
がいせんもん
)
は申すまでもなく、
一廓
(
いっかく
)
数百金を以て建られ候。あたかも記念碑の正面にむかひあひたるが見え候。またその
傍
(
かたわら
)
に、これこそ
見物
(
みもの
)
に候へ。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼はその
汚
(
きた
)
ならしい
一廓
(
いっかく
)
を——
様
(
さま
)
の御屋敷という名で覚えていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
都大路
(
みやこおおじ
)
の
一廓
(
いっかく
)
。……とある辻広場。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
何して喰べ何しに生きているのやら分らない浮浪人の徒が、
仁王
(
におう
)
のいない仁王門の
一廓
(
いっかく
)
を領して、火を
焚
(
た
)
いたり着物を干したり、寝そべったり、物を食ったり、
宛
(
えん
)
として
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひょっこり釣堀の
毀
(
こわ
)
れかかった小屋が立っていたりする、妙に混雑と
閑静
(
かんせい
)
とを混ぜ合わせた様な区域であったが、そのとある
一廓
(
いっかく
)
に、このお話は大地震よりは余程以前のことだから
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
廓
漢検準1級
部首:⼴
14画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥