-
トップ
>
-
らうすゐ
然し
卯平は
老衰の
身を
漸くのことで
投げ
掛けた
心の
底に
蟠つた
遠慮と
性來の
寡言とで、
自分から
要求することは
寸毫もなかつた。
も廣げ
手代丁稚も
大勢抱へ今は一
廉の身代となり向ふの加賀屋
衰へるに
引變彌々繁昌なしけるが加賀屋四郎右衞門は茂兵衞方へ引
取れし
後其身病勝の
上老衰して漸々近所を
老衰してから
餘計にのつそりした
卯平の
身體は、それでも
以前のがつしりした
骨格が
聳えて
側に
居る
勘次を
異樣に
壓した。
洪水の
去つた
後は、
丁度過激な
精神の
疲勞から
俄に
老衰した
者の
如く、
半死の
状態を
呈した
草木は
皆白髮に
變じて
其の
力ない
葉先を
秋風に
吹き
靡かされた。