“したぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
下衣43.9%
下着22.0%
下著7.3%
裏衣4.9%
襯衣4.9%
襲衣4.9%
下木2.4%
下纒衣2.4%
下袍2.4%
褻衣2.4%
襲着2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
辻の風説うわさ、会うものごとに申し伝えて、時計の針が一つ一つ生命いのちを削りますようで、皆、下衣したぎの襟を開けるほど、胸が苦しゅうござりましたわ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぼくはうすぐらくなった店の中をわがものがおで歩きまわって、下着したぎやくつ下などの売場うりばから、ふかふかしてあたたかそうな下着やくつ下をとりだして身につけた
袴野の下著したぎを取り出したが、ふと、野伏の下著もそれにまぜて抱え、日あたりの谷間の岩のうえに坐り込み、野伏の下著をひろげると、その臭気をいでさわりを頬にあててさわってみた
外衣うわぎ裏衣したぎも、雨や、風や、岩角に破られてしまって、二人ともホントのヤバン人のように裸体はだかになってしまいましたが、それでも朝と晩には、キット二人で、あの神様の足凳あしだいの崖に登って
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼女は思はず襯衣したぎの儘、ころぶやうに寝台を這ひ下りると、冷たい敷き石の上にひざまづいて、再生の主と言葉を交した、美しいマグダラのマリアのやうに、熱心な祈祷を捧げ出した。……
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つまを取った左の手を下腹部へつけ、裾から洩れる友禅ゆうぜん襲衣したぎを、白い脂肪あぶらづいた脛にからませ、走るにつれてぶつかる風に、びんの毛を乱して背後へなびかせ、これもぶつかる風に流れる
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その人々の後ろについて知らない土地へいってみたいとあこがれたことがあったが、牛にぎっしりと積んでもち帰る下木したぎと呼ばれたその若木も、枝ごと田に踏み込んでは緑肥にしたのであった。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
衣服は普通の羊毛布でこしらえた袈裟けさとシャンタブ(下纒衣したぎ穿抜腰衣はきぬきこごろも〕)と正規の僧帽と中等のくつを用いて居る。それでも一通りそろえますと二十円位かかります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
左の方よりは足助あすけの二郎重景とて、小松殿恩顧のさむらひなるが、維盛卿よりわかきこと二歳にて、今年まさ二十はたち壯年わかもの、上下同じ素絹そけんの水干の下に燃ゆるが如き緋の下袍したぎを見せ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
眩ゆいやうな白いリンネルの褻衣したぎに掩はれたのも、掛衣かけぎぬの陰鬱な紫と、著しい対照を作つて、しかも地合ぢあひのしなやかさが、彼女の肉体のやさしい形を何一つ隠す所もなく、見る人の眼を
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
もとどり千切れた髪、蒼白な顔、嵐に揉まれる牡丹桜とでも云おうか、友禅の小袖の袖口からは、緋の襲着したぎがこぼれ、半分なかば解けた帯の間からは、身悶えするごとに、鴇色ときいろの帯揚げがはみ出し
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)