襲衣したぎ)” の例文
島子は襲衣したぎ一枚である。一枚だけをひっかけている。真紅の色というものは、誘惑的ではあるけれど、あまりに刺戟があくどいため、教養ある人には好かれない。
怪しの館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
つまを取った左の手を下腹部へつけ、裾から洩れる友禅ゆうぜん襲衣したぎを、白い脂肪あぶらづいた脛にからませ、走るにつれてぶつかる風に、びんの毛を乱して背後へなびかせ、これもぶつかる風に流れる
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)