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からく
夫ゆゑ
誰も
彼も
聴に
参る
中に、
可楽と
云ふ者があつて、
是は
櫛職人でござりましたが、
至て
口軽な
面白い人ゆゑ、
私も一つ
飛入に
落語をして見たいと
申込んだ。
すると
此の
狂歌師の
中へ
職人を
入れたら
品格が悪くなるだらうと
拒んだものもあつたが、ナニ
職人だツて話が
上手なら
仔細ないと
云ふ事で、
可楽を
入れてやらせて見た所が、
大層評判が
宜しく
可楽が出るやうになつてから、一ト
際聴手が
殖えたと
云ふ
位。
身に付ゐたるが天神丸の巖石に
打付られし
機會に
遙の岩の上へ打上られ
暫は
正氣も有ざりける
稍時過て心付
拂と一
息吐夢の覺し如く
然にても船は如何せしやと
幽かに
照す
宵月の光りに
透し見ば廿人の者共は如何にせしや一人も
影だになし
無漸や
鯨魚の
餌食と成しか其か中にても
我獨辛も
命助かりしは