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かはやぎ
彼は
熱心に
書いて
居る
草の
上に
腰から
上が
出て、
其立てた
膝に
畫板が
寄掛けてある、そして
川柳の
影が
後から
彼の
全身を
被ひ
これを
對岸から
寫すので、
自分は
堤を
下りて
川原の
草原に
出ると、
今まで
川柳の
蔭で
見えなかつたが、
一人の
少年が
草の
中に
坐つて
頻りに
水車を
寫生して
居るのを
見つけた。
其の
憎さげな、
高慢な、
人を
馬鹿にした
形は
何うだい、
總別、
氣に
食はない
畜生だ、と
云ふ
心から、
石段の
割れた
欠を
拾つて、
俗にねこと
言ふ、
川楊の
葉がくれに、
熟と
狙つて、ひしりと
擲げる