あつ)” の例文
こうしたひとたちのあつまるところは、いつもわらごえのたえるときがなければ、口笛くちぶえや、ジャズのひびきなどで、えくりかえっています。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで赤貝姫がしるしぼあつめ、蛤貝姫がこれを受けて母の乳汁として塗りましたから、りつぱな男になつて出歩であるくようになりました。
「おれは内地の農林のうりん学校の助手じょしゅだよ、だから標本ひょうほんあつめに来たんだい。」私はだんだん雲のえて青ぞらの出て来る空を見ながら
サガレンと八月 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ぽんの大きな木の、うつろになった中にはいって、いぬどもを木のまわりにあつめて、たくさんたきをして、そのばんねむることにしました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
つい二三日前にさんちまへまで其所そこてゝいたのですが、れい子供こども面白おもしろ半分はんぶんにわざと屏風びやうぶかげあつまつて、色々いろ/\惡戲いたづらをするものですから
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
抱上いだきあげ今日より後は如何にせん果報くわはうつたなき乳呑子ちのみごやと聲をはなつてかなしむを近所の人々聞知りて追々おひ/\あつまり入來りくやいひつゝ吉兵衞に力を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かきはまたなしきりとちがつて、にぎやかなで、とうさんがあそびにたびなにかしらあつめたいやうなものがしたちてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
検疫船けんえきせん検疫医けんえきいむ。一とう船客せんかくどう大食堂だいしよくだうあつめられて、事務長じむちやうへんところにアクセントをつけて船客せんかくげる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
れのあしたを前にして、なにを密議みつぎするのか、そのばん徳川とくがわばたけの者ばかりが、首をあつめておそくまで声をひそめていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとへば昆蟲こんちゆう標本室ひようほんしつにはひつてますと、めづらしい蝶々ちよう/\甲蟲かぶとむしなどのかはつた種類しゆるいのものがおどろほどたくさんにあつめてあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
A ハガキ文學ぶんがくいね。ソラよく雜誌社ざつししやなどで原稿げんかうあつめる一手段しゆだんとして、諸名士しよめいし往復葉書わうふくはがきしたりするぢやないか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
村民をあつめて文珠菩薩の祭礼さいれいおこなひ、あはせて此一行をも招待せうたいすべし、而して漸次道路を開通がいつうここたつし、世人をして参詣さんけいするを得せしめんと
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
それで彼等かれらよる時刻じこくると、目明めあき手曳てびきがだんだんと家々いへ/\くばつてあるく。さうしては手曳てびきがそれをあつめてれてかへつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まわれ/\水車みづぐるま小音こおんうたす、美登利みどり衆人おほく細螺きしやごあつめて、さあう一はじめからと、これはかほをもあからめざりき。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこにはロシヤのいはゆる「千八百八十年だい知識階級インテリゲンチヤ」であるところのラアネフスカヤをはじめ、老若ろうじやくの男女たちの十人があつまつて舞踏ぶとうけうじてゐる。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
主墳しゆふんではるまいが、人氣にんきゆるんで折柄をりがらとて、學者がくしやも、記者きしやも、高等野次馬かうとうやじうまも、警官けいくわんも、こと/″\此所こゝあつまつて、作業さくげふ邪魔じやまとなること夥多おびたゞしい。
しかし、夫人ふじんしづめて、ちかくにゐる同志どうし婦人達ふじんたちあつめた。近所きんじよから醫師いして、かく應急手當おふきふてあてほどこされた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
そして永劫えいがふの或期間だけ蓋の形を保續して來た、要するにあつまツた人の力が歳月さいげつたゝかツて來たのだ。雖然戰ツた痕跡こんせきは、都て埃の爲に消されて了ツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
六十一還暦くわんれきの時年賀の書画しよぐわあつむ。吾国わがくにはさらなり、諸国の文人ぶんじん名家めいか妓女きぢよ俳優はいいう来舶清人らいはくせいひとの一ぜつをもたり。
シューラは、新しい歌をあつめたほんを持っててやると、きのうクルイニンに約束やくそくしたのをおもした。ポケットへ手をっこんでみたが、本はなかった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
れもし行きめぐりて人をとらえてめしあつめ(すなわち裁判官が巡回して犯罪人を捕え集めて裁判する如くし)給う時は誰かよくこれをはばまんや、彼は偽る人を
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
四番よばんめの大伴おほとも大納言だいなごんは、家來けらいどもをあつめて嚴命げんめいくだし、かならたつくびたまつていといつて、邸内やしきうちにあるきぬ綿わたぜにのありたけをして路用ろようにさせました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
すくなくとも、さうしてちついて宴會えんかいひら數時間すうじかんぜんまでは、みんな苦勞くろうして、かやをあつめてゐたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
今度こんどは一つ日本男兒につぽんだんじ腕前うでまへせてれんと、うまく相撲すまうこと發議はつぎすると、たちま彌次連やじれんあつまつてた。
其夜そのよ大雨たいうしたので、これまで野營やえいつゞけてゐた附近ふきん被害民ひがいみんは、みなつぶのこりのいへあつまつてあま大勢おほぜいでありしため混雜こんざつはしたけれども、みな口々くち/″\
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
大島小學校おほしませうがくかうたものが、いま東京とうきやう三人さんにんます。これがぼく同窓どうさうです。此三人このさんにんあつまるくわい僕等ぼくら同窓會どうさうくわいです。其一人そのひとり三田みた卒業そつげふしていま郵船會社いうせんぐわいしやます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
舞踏室ぶたふしつまた客室きゃくしつ床上ゆかうへあつめたるばかりの燈心草とうしんぐさ)をきしは當時たうじ上流じゃうりうならはしなり。)
屹度きつと持參ぢさんこと、とふ……けだ發會はつくわい第一番だいいちばんの——おたうめでたうござる——幹事かんじとんさんが……じつ剩錢つりせんあつめる藁人形わらにんぎやうよろひせた智謀ちぼう計數けいすうによつたのださうである。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれ処女作しよぢよさく市場しぢやうたとき、まだとしすくないこの天才てんさい出現しゆつげんおどろかされて、あつまつておほくの青年せいねんも、そろ/\かれ実質じつしつうたがはれてたやうに、二人ふたりり三にんはなれして
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
きしうへあつまつた一たいは、それこそ滑稽こつけい觀物みものでした——とり諸羽もろは泥塗どろまみれに、動物けもの毛皮もうひ毛皮もうひ膠着くツつかんばかりに全濡びしよぬれになり、しづくがたら/\ちるのでからだよこひねつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
湯屋ゆやひろあつめたつめじゃァねえよ。のみなんざもとよりのこと、はらそこまでこおるようなゆきばんだって、おいらァじっとえんしたへもぐりんだまま辛抱しんぼうして苦心くしんたからだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「このかねがなしになると、これから報恩講ほうおんこうのときなんかに、ひとあつめるのにこまるわなア。」
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
恁云かうい學説がくせつは、たゞ種々しゆ/″\學説がくせつあつめて研究けんきうしたり、比較ひかくしたりして、これ自分じぶん生涯しやうがい目的もくてきとしてゐる、きはめて少數せうすう人計ひとばかりにおこなはれて、多數たすうものれを了解れうかいしなかつたのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
松崎村の寒戸さむとというところの民家にて、若き娘なしの下に草履ぞうりぎ置きたるまま行方ゆくえを知らずなり、三十年あまり過ぎたりしに、或る日親類知音の人々その家にあつまりてありしところへ
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
委員G「遮二無二しゃにむに、マライ半島へ突入とつにゅうするんだ。そしてゴムをあつめる」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
糟谷かすやはでるたびにいくさきざきで、村の青年らをあつめ、農耕改良のうこうかいりょうはかならず畜産ちくさん発達はったつにともなうべき理由りゆうなどをき、文明の農業は耕牧兼行こうぼくけんこうでなければならぬということなどをしきりにかせ
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そうって子家鴨こあひるまわりにあつまってました。子家鴨こあひるはみんなにあたまげ、出来できるだけうやうやしい様子ようすをしてみせましたが、そうたずねられたことたいしては返答へんとう出来できませんでした。野鴨達のがもたちかれむかって
ホールはうつろなで、あつまってきた人たちを見ていた。
黄金こがねたからも なにしにあつめん
七里ヶ浜の哀歌 (新字新仮名) / 三角錫子(著)
あつまれ、子供こども
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
ちょうどわたしおなじい七つ、八つばかりの子供こどもが、毎日まいにち五、六にんあつまって鬼事おにごっこをしたり、こまをまわしたりしてあそんでいました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
またすぐの下のまちまでが、やっぱりぼんやりしたたくさんの星のあつまりか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのうちにけてしまったので、こんなにおおぜいあつまっているところをうっかりねこつけられては、それこそたいへんだといって
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
どこの田圃側たんぼわきつてても、どこのはたけすみつてても、子供こどもといふ子供こどもあつまつてるところでは、そのあそびがはじまつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
東隣ひがしどなり主人しゆじんにはには村落むらもの大勢おほぜいあつまつておほきな燒趾やけあと始末しまつ忙殺ばうさつされた。それでその人々ひと/″\勘次かんじにはさうとはしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ローマ時代じだい文化ぶんかかた古美術品こびじゆつひんはもとより支那しな日本につぽんのような東洋とうようのものを多數たすう、しかもすぐれたものをあつめてあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
みんなわたし恩人おんじんといふてい、いまこのやうに女中ぢよちゆうばかりあつまつて、此方こち奧樣おくさまぐらゐひとづかひのかたいとうそにもよろこんだくちをきかれるは
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みづはじいてふたつが一所いつしよあつまつたとふよりも、みづはじかれたいきほひで、まるつた結果けつくわはなれること出來できなくなつたとひやうするはう適當てきたうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「よウ、京都の葵祭あおいまつりにも人出ひとではあるが、この甲斐かい山奥やまおくへ、こんなに人間があつまってくるたあ豪勢ごうせいなもンだなあ……」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六十一還暦くわんれきの時年賀の書画しよぐわあつむ。吾国わがくにはさらなり、諸国の文人ぶんじん名家めいか妓女きぢよ俳優はいいう来舶清人らいはくせいひとの一ぜつをもたり。