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黄色味
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きいろみ
日のまだ
落ちない
内から
庭を
覗いて
居た
月が
白く、
軈てそれが
稍黄色味を
帶びて
來て
庭の
茂つた
柿の
木や
栗の
木にほつかりと
陰翳を
投げた。
根が
幾日もぐつしりと
水に
浸つてた
大豆は
黄色味の
勝つた
褐色の
莢も
幹も
泥で
汚れた
樣に
黒ずんで
居た。
田圃の
榛の
木は
疾に
花を
捨てゝ
自分が
先に
嫩葉の
姿に
成つて
見せる。
黄色味を
含んだ
嫩葉が
爽かで
且つ
朗かな
朝日を
浴びて
快い
光を
保ちながら
蒼い
空の
下に、まだ
猶豫うて
居る
周圍の
林を
見る。