鵞鳥がてう)” の例文
自動車のタイヤのやうな円い浮袋ブイもあれば、8の字のや、また、さるかめ鵞鳥がてうなどの首のついた、乗つて泳げる浮袋ブイなどもあります。
プールと犬 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
豌豆ゑんどうのやうな花の咲いた細かい草などもある。向うの土手のところに山羊やぎの一群が居り、少女ひとりが鵞鳥がてうの一群を遊ばせてゐたりする。
イーサル川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
こんな男に取つては、主人の暖簾のれんと威光が何よりの頼りで、まさか金の卵を産む鵞鳥がてうを絞め殺すほどの無分別者とは思はれなかつたのです。
かの鵞鳥がてうこゑ婦人ふじんくちあんぐり、眞赤まつかになつて白黒しろくろにしてる、さだめて先刻せんこく失言しつげんをば後悔こうくわいしてるのであらう。
夜なかに、この村一番の金持の家の鵞鳥がてうが、ふいに、けたゝましく鳴きだしました。それからつゞいて、隣のうちの鵞鳥が鳴きだす。また次の家の鵞鳥が鳴きだす。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
仕掛あり其下はよどみて水深げに青みたるに鵞鳥がてうの四五羽遊ぶさながら繪なり八幡を過ぎ金山かなやま阪下にて車は止る瓜生峠うりふたふげを越ゆるに四歳よつばかりの女子めのこ父に手を引かれて峠を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
また或る鵞鳥がてうは、自分の雌を殺されて(雌が牧師の胃の腑に納まつたかうかは知らないが、牧師は気持よささうに鵞鳥の殺されるのを見てゐた)このかた、同じうちいぬに惚れだした。
そんな鵞鳥がてううしてつくつた?
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
午後六時、鵞鳥がてうの見たる水底みなぞこ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
青い草の上に、鵞鳥がてうが一羽
虹猫の大女退治 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
さう言はれたせゐか、思ひの外美しい聲のお谷も、今朝は鵞鳥がてうのやうなしやがれツ聲をして居ります。
をりふし鵞鳥がてうのやうなこゑうたうた調しらべは左迄さまで妙手じやうずともおもはれぬのに、うた當人たうにん非常ひじやう得色とくしよくで、やがて彈奏だんそうをはると小鼻こばなうごめかし、孔雀くじやくのやうにもすそひるがへしてせきかへつた。
げいづる鵞鳥がてうのうから
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
二 夜鳴き鵞鳥がてうの話
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
声もなき鵞鳥がてうのうから
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)