魯智深ろちしん)” の例文
そして来るやいな、魯智深ろちしんは、いきなり背を小突かれて、階の下に膝をついた。百姓たちも揃って、鄧龍とうりゅうの姿を仰いでぬかずいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉄の錫杖しゃくじょうをふりまわす花和尚かおしょう魯智深ろちしん、馬上に長刀をあやつる九紋竜史進。二丁のおのをかるがるとふる黒旋風こくせんぷう李逵りき
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
彼は又何度も木剣を提げ、干し菜をぶら下げた裏庭に「水滸伝」中の人物と、——一丈青扈三娘こさんじょうや花和尚魯智深ろちしんと格闘した。この情熱は三十年間、絶えず彼を支配しつづけた。
吾れからてぬきに、向うからさっさと片づけてもらうのは、魯智深ろちしんひげではないが、ちと惜しい気もちがせぬでもなかった。兎に角彼は最早浪人ろうにんでは無い。無宿者でも無い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
すみ先生せんせいよろしく、と挨拶あいさつして、ひとり煢然けいぜんとしてたふげくだ後態うしろつきの、みづうみ広大くわうだい山毛欅ぶなたかし、遠見とほみ魯智深ろちしんたのが、かついくさやぶれて、よろひて、雑兵ざうひやうまぎれてちて宗任むねたふのあはれがあつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水滸伝すいこでん花和尚かおしょう魯智深ろちしんくやと見えるのであった。
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
魯智深ろちしんはいった。——九紋龍くもんりゅう史進ししんもまたこの奇遇を尽きない縁ときょうじてやまない。そして相携あいたずさえつつ、もとの瓦罐寺がかんじのほうへ歩きだした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今、ちなすったのは魯智深ろちしんさんだね。」
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おさえていた棒先の片手をそのままに、魯智深ろちしんがこぼれた酒を鼻で追っていくような恰好を見せたので、酒屋男はなおぎょっとして怪しんだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安も、その一本をふりかぶって、魯智深ろちしんみたいに、往来へとび出した。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)