“飲(のん)” の例文
旧字:飮
又或(あ)るとき是(こ)れは私の大失策、或る夜(よ)私が二階に寝て居たら、下から女の声で福澤さん/\と呼ぶ。私は夕方酒を飲(のん)で今寝たばかり。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
青年弁士は水ガブ/\と飲(のん)で又た手を振り始めぬ、「諸君が露西亜(ロシヤ)討たざるべからずと言ふけれ共ダ、露西亜の何物を討つと言ふのです」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
世帯を持って初めての朝、味噌汁(みそしる)も粗末な椀(わん)で飲(のん)だ。お雪が生家(さと)の知人(しりびと)から祝ってくれたもので、荷物の中へ入れて持って来た黒塗の箸箱(はしばこ)などは、この食卓に向きそうも無かった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
叫喚(あっ)と云って慄(ふる)え出し、飲(のん)だ酒も一時に醒(さめ)て、最(も)う最(も)うこんな家(うち)には片時も居られないと、襖(ふすま)を蹴(け)ひらき倉皇(そうこう)表へ飛出(とびだ)してしまい芸妓(げいぎ)も客の叫喚(さけび)に驚いて目を覚(さま)し、幽霊と聞(きい)たので青くなり
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
東京から故郷の山中まで、僕の心にコビリ付いていた「今井の死」から、一刻も早く完全に脱(のが)れたい……。僕はそう思って、四五人の旧友達と共に、鰆のおつくりを肴に、村の酒を飲(のん)だりした。
友人一家の死 (新字新仮名) / 松崎天民(著)
飲(のん)で居たと云いました目
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
モウ一盃、これでお仕舞(しまい)と力(りき)んでも、徳利(とくり)を振(ふっ)て見て音がすれば我慢が出来ない。とう/\三合(さんごう)の酒を皆飲(のん)で仕舞(しまっ)て、又翌日は五合飲む。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
食物(しょくもつ)の消化時間は大抵(たいてい)知(しっ)てるだろう、今吐剤(とざい)を飲(のん)でも無益だ。河豚の毒が嘔(は)かれるなら嘔(はい)て見ろと云(いっ)たら、三刀も医者の事だから能(よ)く分(わかっ)て居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)