飛鳥とぶとり)” の例文
すると鏈鎌くさりがまの名人として、客将の間に名を知られた飛鳥とぶとり左近吾という大兵だいひょうの男が、四辺をジロリと見廻わしながら
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「飛ぶ鳥のアスカ」「春日はるびのカスガ」などがそれで、枕言葉をそのままに「春日はるび」と書いてカスガと読み、「飛鳥とぶとり」と書いてアスカと読む類これである。
国号の由来 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
この小栗と申す人は米国あめりかへ洋行した初めで外国奉行を兼ね御勘定奉行で飛鳥とぶとりを落す程の勢い、其の人の娘で、わたくしどもは深い事は心得ませんが、三倉さんのくらで小栗様は討たれ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
飛鳥とぶとりもあとをごすなに候へば、大藤おほふぢ大盡だいじん息子むすこきしに野澤のざわ桂次けいじ了簡りようけんきよくないやつ何處どこやらの割前わりまへひと背負せよはせてげをつたなど〻斯ふいふうわさがあと/\にのこらぬやう
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
当時たうじ飛鳥とぶとりちるとふ、おめかけ一人ひとりつてたが、ふね焼出やけだしたのは、ぬしさしつたとほりでがす。——めかけふのが、祖父殿おんぢいどん許嫁いひなづけつたともへば、馴染なじみだとも風説うはさしたゞね。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
君住むは西方せいほう百里飛鳥とぶとりの、翼うらやみ大空を見る
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
御家督引つぎはや早きおとしにはあるまじくとおほ賛成に候、さだめしさだめしその地にはあそばしかけの御用事も御座候はんそれ等を然るべく御取まとめ、飛鳥とぶとりもあとを濁ごすなに候へば
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
飛鳥とぶとり左近吾はそれを見るとカラカラと笑って手を振った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鎖鎌くさりがまの名人飛鳥とぶとり左近吾がこれも同じく膝を進め
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)