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防空壕
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ぼうくうごう
ふりがな文庫
“
防空壕
(
ぼうくうごう
)” の例文
庭の土塀のくつがえった
脇
(
わき
)
に、大きな
楓
(
かえで
)
の幹が中途からポックリ折られて、
梢
(
こずえ
)
を
手洗鉢
(
てあらいばち
)
の上に投出している。ふと、Kは
防空壕
(
ぼうくうごう
)
のところへ
屈
(
かが
)
み
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
工場の
防空壕
(
ぼうくうごう
)
は少しはなれた裏山にあった。警報とともに、みんなは一目散にそこへ向ってかけつけた。
雑居家族
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
たいへんたいへん、
大洪水
(
だいこうずい
)
だ。何しろ氷山も
雪原
(
せつげん
)
も一度に融けだしたんだから、町という町、
防空壕
(
ぼうくうごう
)
という防空壕は
水浸
(
みずびた
)
しになり、水かさはどんどん
殖
(
ふ
)
えていく。
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ここ
暫
(
しばら
)
くは寒い夜中に子供たちを起して
防空壕
(
ぼうくうごう
)
に飛び込むような事はしなくてすむと思うと、これからさきに
於
(
お
)
いてまだまだ様々の困難があるだろう事は予想せられてはいても
薄明
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
自分の家は倫敦の郊外で、
独逸
(
ドイツ
)
の飛行機が飛んで来る通路に当っているので、毎日毎晩爆撃機の編隊が通り、盛んに爆弾を落すけれども、非常に深い完備した
防空壕
(
ぼうくうごう
)
があるので
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
あとになって、わかったのですが、この洞窟は、上山さんのまえに、ここに住んでいた人が、
防空壕
(
ぼうくうごう
)
としてほらせたものでした。庭の古井戸を利用したふうがわりな防空壕でした。
夜光人間
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その頃はもう通り抜ける人影も
稀
(
まれ
)
な上に、植込みのそこここには
空掘
(
からぼ
)
りの
防空壕
(
ぼうくうごう
)
も散在してゐようといふ荒れさびた聖堂の構内を、姉さまは当てもなくうろつくだけのことでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
ぼくは東京で空襲にあった、何度も何度も
防空壕
(
ぼうくうごう
)
へはいった。狭くて湿っぽくて、暗い防空壕へね、——警戒警報のサイレン、空襲警報のサイレン、敵機頭上と叫びまわる防火班長の声を
おごそかな渇き
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「早く、道の
防空壕
(
ぼうくうごう
)
に……」
夏の葬列
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
小さな
防空壕
(
ぼうくうごう
)
のまわりに
繁
(
しげ
)
るままに繁った雑草や、
朱
(
あか
)
く色づいた
酸漿
(
ほおずき
)
や、
萩
(
はぎ
)
の枝についた小粒の花が、——それはその年も季節があって夏の終ろうとすることを示していたが
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
彼は、毎朝早く起きて、砂漠の下の
防空壕
(
ぼうくうごう
)
を
匐
(
は
)
いだすと、そこに出迎えている
常用戦車
(
じょうようせんしゃ
)
の中に乗り込み、文字どおり
砂塵
(
さじん
)
を蹴たてて西進し、重工業地帯へ出動するのであった。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
朦朧
(
もうろう
)
とした気持で、
防空壕
(
ぼうくうごう
)
から這い出たら、あの八月十五日の朝が白々と明けていた。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そこは
防空壕
(
ぼうくうごう
)
のようにひろくなって、人間のすまいになってでもいるのでしょうか。
海底の魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
Hさんのお
祖母
(
ばあ
)
さんは道ばたの
防空壕
(
ぼうくうごう
)
のなかで焼け死んだと言ひます。そんな
聯想
(
れんそう
)
から、千恵はひよつとしたらS家のお母さまの行方が知れないのではあるまいかと一応は考へてみました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「だから昔話してんのに。なあ先生、わたし、あの弁当箱、戦争中は
防空壕
(
ぼうくうごう
)
にまで入れて守ったんですよ。あの弁当箱だけは、娘にもやりたくないんです。わたしの
宝
(
たから
)
でしたの。今日もお米入れて持ってきたんですよ、先生」
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「二郎や。兄ちゃんは、
防空壕
(
ぼうくうごう
)
を掘っているのだよ。出来たら、お前も
入
(
い
)
れてお
貰
(
もら
)
い」
未来の地下戦車長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
湿気の多い、悲しげな空気は縁側から
匐
(
は
)
い上って畳の上に流れた。時折、風をともなって、雨はザアッと
防空壕
(
ぼうくうごう
)
の上の木の葉を揺すった。庭は真暗に
濡
(
ぬ
)
れて号泣しているようなのだ。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
Hさんは
先
(
ま
)
づ妹と女中に
逢
(
あ
)
ひ、つづいて兄さんたちや弟と行き会つたさうですが、お祖母さんが道ばたの
防空壕
(
ぼうくうごう
)
のなかで焼け死んでゐることが分つたのは、やつとお
午
(
ひる
)
近くになつてからでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
防空壕
(
ぼうくうごう
)
にまで入れた宝の弁当箱とは。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
床の間に置かれた小さな仏壇のまわりには、いつのまにか花が飾られて、
蝋燭
(
ろうそく
)
の灯が揺れていた。開放たれた縁側から見ると、小さな
防空壕
(
ぼうくうごう
)
のある二坪の庭は真暗な
塊
(
かたま
)
りとなって蹲っていた。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
きょろきょろ
四周
(
あたり
)
を見まわしたが、
防空壕
(
ぼうくうごう
)
らしいものはなかった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
……農家から
頒
(
わ
)
けてもらったトマトは庭の
防空壕
(
ぼうくうごう
)
の底に
籠
(
かご
)
に入れて
貯
(
たくわ
)
えられた。冷やりとする
仄暗
(
ほのぐら
)
い地下におかれたトマトの赤い皮が、上から斜に
洩
(
も
)
れてくる
陽
(
ひ
)
の光のため彼の眼に泌みるようだった。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
“防空壕”の意味
《名詞》
防空壕(ぼうくうごう)
敵からの空襲から待避するために地面や崖を掘削して作った壕。
(出典:Wiktionary)
“防空壕”の解説
防空壕(ぼうくうごう、en: air raid shelter)は、空襲のときに待避するために地を掘って作った穴や構築物(地下壕や地下室)。避難壕(シェルター)の一種。
(出典:Wikipedia)
防
常用漢字
小5
部首:⾩
7画
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
壕
漢検準1級
部首:⼟
17画
“防空”で始まる語句
防空頭巾
防空面
防空演習
防空監視哨
防空硬天井