長旅ながたび)” の例文
「妹から——呉服くれはから聞いたところ、貴様京の地へ長旅ながたびをし、帰って来たと思ったところ、その夜すぐに飛び出してしまい……」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして、拍子ひょうしわせて、二、三ばたきをしました。これから、長旅ながたびかけるまえのあいさつであります。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
この長旅ながたびのはてに、君がわが胸に達し給ひしか。わが身の内にある代々の人々よりこの我に至るまで、一齊に呼ばはりて、君を祝福されたる者と仰ぎ奉る。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
長旅ながたびかゝへたり、まへたうげのぞんだれば、めてなどおもひもらず、柳屋やなぎやといふに宿やどる。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして、實際、長旅ながたびの疲れを感じてゐたので、もう引き退さがつてもいゝむねを云つた。彼女は、蝋燭をとり、私はその後に從つて、室を出た。先づ彼女は、廣間の戸締りを見にいつた。
青年せいねん一人旅ひとりたびをしてゐるといふことを、あたまつてください。わゝくといふのは、きれや着物きもののぼや/\になつてることで、長旅ながたびをしたゝめに、れてたりしたところがある樣子ようすです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
こしたれば是非々々存生ぞんしやうの中に面會めんくわい致し度今にては私しも親はなし親のなき後は兄は親同前なりと云ば是非あひゆくつもりなり併し是もはや押迫おしつまつてかぞへ日にはなるし彼是又暮の始末しまつにて旅立所たびだちどころではなけれ共兄弟きやうだいしやうの別れなれば何有てもあはねばならず夫に付長旅ながたびの事ゆゑ心の知れぬ者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)