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鐵漿
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かね
ふりがな文庫
“
鐵漿
(
かね
)” の例文
新字:
鉄漿
眉を落して
鐵漿
(
かね
)
を含んで、何んの變哲もない町家の内儀ですが、この燃えるやうな性格と、
華
(
はな
)
やかに去來する感情の動きを見ると
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
本堂
(
ほんだう
)
に
額
(
ぬかづ
)
き
果
(
は
)
てて、
衝
(
つ
)
と
立
(
た
)
ちて
階
(
きざはし
)
の
方
(
かた
)
に
歩
(
あゆ
)
み
出
(
い
)
でたるは、
年紀
(
とし
)
はやう/\
二十
(
はたち
)
ばかりと
覺
(
おぼ
)
しき
美人
(
びじん
)
、
眉
(
まゆ
)
を
拂
(
はら
)
ひ、
鐵漿
(
かね
)
をつけたり。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おちよぼ
口
(
ぐち
)
にお
鐵漿
(
かね
)
の
黒
(
くろ
)
い
女
(
をんな
)
は、
玄竹
(
げんちく
)
の
脇差
(
わきざ
)
しを
見
(
み
)
て、かう
言
(
い
)
ひながら、
赤
(
あか
)
い
襷
(
たすき
)
がけのまゝで、
白
(
しろ
)
い
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
した。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
三十といふ大年増でも眉も落さず、
鐵漿
(
かね
)
もつけず、氣が立つと若やぐせゐか、娘々した匂ひの殘るのも、一つの特色でした。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
百合
(
ゆり
)
は、
薔薇
(
ばら
)
は、
撫子
(
なでしこ
)
は
露
(
つゆ
)
も
輝
(
かゞや
)
くばかりに
見
(
み
)
えたが、それよりも
其
(
そ
)
の
唇
(
くちびる
)
は、
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
、
鐵漿
(
かね
)
を
含
(
ふく
)
んだか、と
影
(
かげ
)
さして、
言
(
い
)
はれぬ
媚
(
なまめ
)
かしいものであつた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
「待つてまツせ。……お
家
(
うち
)
でお
家
(
へ
)
はん(女房の事)が、……
鐵漿
(
かね
)
附けて。……」
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
青々とした眉、大きい表情的な眼、小さすぎる唇から、物を言ふ度に
鐵漿
(
かね
)
をつけた齒が覗いて、非凡の色つぽさです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
骨
(
ほね
)
のあるがんもどきかい、ほゝゝゝほゝ、」と
笑
(
わら
)
つた、
垢拔
(
あかぬ
)
けのした
顏
(
かほ
)
に
鐵漿
(
かね
)
を
含
(
ふく
)
んで
美
(
うつく
)
しい。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恰幅の良い四十前後の典型的な町人の内儀で、眉の跡の青さは薄れましたが、
鐵漿
(
かね
)
の黒々としたのが、色白の顏を引立てて、中々の好い年増振りです。
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「小判なんざ、
片
(
かけ
)
らも出やしません。出て來たのは、古釘と五徳のこはれと、
鐵漿
(
かね
)
の壺だけ、これでも金には違ひありませんが、——飛んだくたびれ儲けで」
銭形平次捕物控:306 地中の富
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鐵漿
(
かね
)
だけの半元服姿のお仙は、鏡の前に坐りました。鏡は丸形の
白銅
(
はくどう
)
、池田屋の先代の内儀が使つたといふ豪勢なもの、ギヤマンよりも
玲瓏
(
れいろう
)
としてをります。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時お粂は二十五、出戻りになつてから、
鐵漿
(
かね
)
も落し、眉も生やして、元の娘姿にかへりましたが、少しもをかしくないほど、若くて陽氣で、
溌剌
(
はつらつ
)
としてをりました。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
嫁の眉は、一方だけ剃り落すと、思はず
掌
(
てのひら
)
で隱して鏡を覗くと言つた川柳の
情景詩
(
じやうけいし
)
があり、七ヶ所から貰つて、最初の
鐵漿
(
かね
)
をつける儀式も、いろ/\の民俗詩に殘つてをります。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いつまでも、眉も齒もそのまゝにして置くわけに行かず、いよ/\
七所
(
なゝとこ
)
から
鐵漿
(
かね
)
を貰ひ、池田屋には女親がないから、阿倍川町から里の母親が來て、眉を落してやることになりました」
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
眉
(
まゆ
)
の
剃跡
(
そりあと
)
がやゝ薄くなつて、卵形の面長、
鐵漿
(
かね
)
は
含
(
ふく
)
まず、白粉も嫌つて、紅だけ差した片化粧が、この女の場合は、
妖
(
あや
)
しい色つぽさになつて、相手の男に、自分の意志を押しつけようとするのです。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鐵
部首:⾦
21画
漿
漢検1級
部首:⽔
15画
“鐵漿”で始まる語句
鐵漿瓶