鉄板てっぱん)” の例文
旧字:鐵板
ここにかさねてある鉄板てっぱんおくはこぶのです。なかなかちからがいって、つかれますが、あなたがなさるならやってごらんなさい。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「うふふふ、これはすごいことになったぞ。三センチもある鉄板てっぱんが、ボール紙を水につけたようにとけてしまった。とてもおそろしい力だ」
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ふたりの警官が、腰かけているうしろの、窓のない鉄板てっぱんの壁から、ヌーッと四本の手が、あらわれたではありませんか。
妖星人R (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
菊池半助きくちはんすけが、身をすくませたのも道理、中二階の天井てんじょうには、いちめんの鉄板てっぱんが張ってあって、それに、氷柱つららのような、無数のやじりが植えてあるのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水に強いと云うかつらわたり二尺余のりぬき、鉄板てっぱんそこき、其上に踏板ふみいたを渡したもので、こんな簡易かんい贅沢ぜいたくな風呂には、北海道でなければ滅多めったに入られぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
鉄板てっぱんをのせた横長よこながの火鉢のまえに向き合って、その紅梅焼を焼いていたのである。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
幸三こうぞうは、そこにあったおも鉄板てっぱん両手りょうてをかけました。しかし、それは、容易よういげることすらできないほど、おもかったのでありました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
重い物体をひっかける化物ばけもののようにでっかいかぎが、太い鋼線ロープってあり、また橋梁の一隅いちぐうには、鉄板てっぱんで囲った小屋がっていて、その中には
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのもう一まいのドアは、うすい鉄板てっぱん木目もくめに色どったもので、内がわにはめてある鏡も、ごくうすいガラスでできているので、りょうほうで一センチぐらいのあつみしかありません。
おれは二十面相だ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
すると、内部ないぶ電燈でんとうがともって、そのしたに三にんおとこが、鉄板てっぱんはこんでいました。おとこたちは、幸三こうぞうかおました。かれは、少年しょうねんにあいたいとげました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかも液体の容器は錫鍍すずめっき鉄板てっぱんで出来ているバケツではないか。おお、この液面は大地電位アース・ポテンシャルに在る。
科学者と夜店商人 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
大きな鉄板てっぱんで穴の上をふたして、土がかぶせてあったのです。今、二十面相はその鉄板をひらいて、穴の中にとびこんだのです。かき消すように見えなくなったのは、そのためですよ。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この世界が皆、血色に関聯かんれんする。赤錆の出た、たいらな、一枚の鉄板てっぱんのような夜の世界、その色は、断頭台の血に錆びた鉄の色に似ている。惨酷ざんこくな料理をする……。吾らは、夜の色を讃美する。
森の暗き夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わら人形のからだに鉄板てっぱんをうちつけたような感じのするものだった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
鉄板てっぱんのさびをとしたりしていたのであります。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)