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這奴
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しやつ
ガサリなどゝ
音をさして、
畚を
俯向けに
引繰返す、と
這奴にして
遣らるゝはまだしもの
事、
捕つた
魚が
飜然と
刎ねて、ざぶんと
水に
入つてスイと
泳ぐ。
あの
嘴で
丹念に、
這奴我が
胸、
我が
腹の
毛を
殘りなく
毮り
取つて、
赤裸にした
處を、いきみをくれて、ぬぺらと
出して、
葉隱れに……へたばる
人間をぎろりと
睨んで、
噴飯す
由。
後に
煬帝遼東を
攻むる
時、
梯子を
造りて
敵の
城中を
瞰下す。
高さ
正に
十五丈。
沈光其の
尖端に
攀ぢて
賊と
戰うて
十數人を
斬る。
城兵這奴憎きものの
振舞かなとて、
競懸りて
半ばより、
梯子を
折く。