-
トップ
>
-
追出
>
-
おひだ
一處になつて
走廻つて
居る
内に、いつか
仲がよくなつて、
夕刻、
家に
歸つた
時も、
稻妻は
此可憐なる
少年と
戯れつゝ、
思はず
二階まで
驅上つて、
武村兵曹に
箒で
追出された
程で
委細申せと言ければ傳吉は
茲に於て
是非なく申立る叔母儀は私の母の
妹にて家の
相續いたせし所
聟を三人まで
追出し淺治郎と申男の
病死後又善九郎と申者と
欠落し行衞知れざりしを
扇子と
手套とを
見付けない
前に
戸外へ
追出されやしないかと
氣遣ひながら。
自分は
何故あの時あのやうな心にもない意見をして
長吉の望みを
妨げたのかと
後悔の念に
迫められた。
蘿月はもう一度思ふともなく、女に迷つて親の
家を
追出された若い
時分の事を
囘想した。
直さま
追出して
家へは
入れて
遣らないや。