まど)” の例文
云わば我々陰陽おんようの道にたずさわる者は、そう云うまどえる魂を、おつつの正道に引戻してやろうと云うわけなのだ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
秋山あきやま黄葉もみぢしげまどはせるいももとめむ山道やまぢ知らずも 〔巻二・二〇八〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
鄒公すうこうきん十八人、殿前におい李景隆りけいりゅうってほとんど死せしむるに至りしも、また益無きのみ。帝、金川門きんせんもんまもりを失いしを知りて、天を仰いで長吁ちょうくし、東西に走りまどいて、自殺せんとしたもう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
女はみなといひてうつぶして愕然おびえまどひ、男はみな立あがりておどろきけり。
秋山あきやま黄葉もみぢしげまどはせるいもを求めむ山路やまぢ知らずも
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
ただ茫然ばうぜんと、まどはしき「愛」のちまたにひとり立つ。
うつくしく、恐ろしく又心まどはする指は動きぬ。
葉もなき花の白妙しろたへ雪間ゆきまがくれにまどはしく
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
如何いかにして秤皿はかりざらにも載せがたきこの大象の重さを知り得んと答へまどひけるが、かの大臣はまた父に問ひ尋ぬるに、そはやすきことなり、象をば船に打乗せて水の船をかくすところにしるしをつけ置き
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
葉もなき花の白妙しろたへは雪間がくれにまどはしく
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)