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迂散
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うさん
ふりがな文庫
“
迂散
(
うさん
)” の例文
隠宅ながら、見識ばった門番が
迂散
(
うさん
)
くさそうにするのに、二分にぎらせて、玄関にかかると、この関門は、なかなかむずかしい。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
門番に聞いてみると、
迂散
(
うさん
)
な奴等は見なかったと主張するし、ここではまた店の中に客がおるのに飾窓に奇妙なものを張りつけて行くし——
見えざる人
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
昨日まで
迂散
(
うさん
)
臭い顔で紙衣裳を眺め、触つてみようともしなかつた房一は、いよいよ着こむときになると案外な度胸を示した。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
彼女は桑を
摘
(
つ
)
みに来たのか、寝間着に
手拭
(
てぬぐい
)
をかぶったなり、大きい
笊
(
ざる
)
を抱えていた。そうして何か
迂散
(
うさん
)
そうに、じろじろ二人を見比べていた。
百合
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして——
確
(
たしか
)
に
預
(
あずか
)
る、決して
迂散
(
うさん
)
なものでない——と云つて、
丁
(
ちゃん
)
と、
衣兜
(
かくし
)
から名刺を出してくれました。奥様は、面白いね——とおつしやいました。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「
迂散
(
うさん
)
に思われるはごもっともでござるが、われらがご案内いたそうとするは、われらのお頭の館でござってな……」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
盲人で
迂散
(
うさん
)
な職業の者ということになるから、なんぼ標準語の権威でも、そう呼ぶには忍びなかった。略して「おかみ」といえばもちろんさらに悪い。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「ネジ廻しかね」向う
鎚
(
づち
)
を振上げた男は
迂散
(
うさん
)
そうな顔をして、森君を見ながら、「明日の朝出来ますだよ」
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
階段の下には例の三人の刑事が、仁王立になっていて、するどい眼玉をギロつかせ、いちいち客から招待状を受取り、おまけに
迂散
(
うさん
)
くさそうにジロジロ顔を見た。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
本堂の廊下には
此処
(
ここ
)
で
夜明
(
よあか
)
ししたらしい
迂散
(
うさん
)
な男が今だに幾人も腰をかけていて、その中には
垢
(
あか
)
じみた
単衣
(
ひとえ
)
の
三尺帯
(
さんじゃくおび
)
を解いて平気で
褌
(
ふんどし
)
をしめ直している
奴
(
やつ
)
もあった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼の眼に映ツた
豊艶
(
ほうえん
)
な花は少しづつ
滲染
(
しみ
)
が出て來るやうに思はれるのであツた。おふくろは
迂散
(
うさん
)
らしい顏で、しげ/″\周三の顏を
瞶
(
みつ
)
めてゐた。間も無くお房は銭の音をちやらつかせる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
そこで兵士は、
迂散
(
うさん
)
くさそうにじろじろ見すえてから
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そして——
確
(
たしか
)
に預る、決して
迂散
(
うさん
)
なものでない——と云って、ちゃんと、
衣兜
(
かくし
)
から名刺を出してくれました。奥様は、面白いね——とおっしゃいました。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
のみならず、周囲の
卓子
(
テエブル
)
を囲んでいる連中が、さっきからこちらへ
迂散
(
うさん
)
らしい視線を送っているのも不快だった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
本堂の
廊下
(
らうか
)
には
此処
(
こゝ
)
で
夜明
(
よあか
)
ししたらしい
迂散
(
うさん
)
な男が今だに
幾人
(
いくにん
)
も
腰
(
こし
)
をかけて
居
(
ゐ
)
て、
其
(
そ
)
の中には
垢
(
あか
)
じみた
単衣
(
ひとへ
)
の
三尺帯
(
さんじやくおび
)
を解いて平気で
褌
(
ふんどし
)
をしめ直してゐる
奴
(
やつ
)
もあつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「おい兄貴
迂散
(
うさん
)
だぜ」女勘助が怒るようにいった。「肝腎のいい訳をしねえじゃあねえか」
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
駿河台
(
するがだい
)
の
保命館
(
ほめいかん
)
に御出でしょうと思います」書生は
迂散
(
うさん
)
くさそうに答えた。
真珠塔の秘密
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
やがて眉を
顰
(
しか
)
めると、
迂散
(
うさん
)
らしい眼つきをして、「来てくれるなと云うのはわかるけれど、来れば命にかかわると云うのは不思議じゃないか。不思議よりゃむしろ乱暴だね。」
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そういう彼女の眼から見ると、この家の主人の司馬又助が、
迂散
(
うさん
)
に思われてならなかった。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
素戔嗚は岩角に
佇
(
たたず
)
んだ儘、
迂散
(
うさん
)
らしく相手の顔を見やつた。実際この元気の好い若者がどうして室の蜂に殺されなかつたか? それは全然彼自身の推測を超越してゐたのであつた。
老いたる素戔嗚尊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
造酒は
迂散
(
うさん
)
だというように、黙って話を聞いていたが、不承不承に頷いた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
途々通りちがう菜売りの女などが、
稀有
(
けう
)
な
文使
(
ふづか
)
いだとでも思いますのか、
迂散
(
うさん
)
らしくふり返って、見送るものもございましたが、あの
老爺
(
おやじ
)
はとんとそれにも目をくれる
気色
(
けしき
)
はございません。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と猪右衛門は
迂散
(
うさん
)
らしく右近丸と民弥とを、かたみがわりに見やったが。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「どんなご用でございましょう?」
迂散
(
うさん
)
らしく眼をひそめた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
検事は、すると、
迂散
(
うさん
)
らしく、私の顔を見詰めましたが
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「お待ち」と勘右衛門は
迂散
(
うさん
)
くさそうに云った。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
迂
漢検準1級
部首:⾡
7画
散
常用漢字
小4
部首:⽁
12画
“迂散”で始まる語句
迂散臭