はしら)” の例文
ぞ出帆したり追々おひ/\かぜも少し吹出ふきいだ眞帆まほを七分に上てはしらせハヤ四國のなだを廻りおよそ船路ふなぢにて四五十里もはしりしと思ふ頃吉兵衞はふねみよしへ出て四方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
物貰い門附かどづけ幾人などと記してあったが、これ等は町の角や、カフエーの前の樹の下などに立たずんで人を待っている間に鉛筆をはしらしたものである。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この句もやはり前句などと同じ聯想から来たもので、冬籠りをしてじっと想をいろいろの方面にはしらせているとさまざまの事を思う。それは殆んど際限もないことである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
或はまた山に九曲まがりくねりあるには、くだんのごとくにくゝしたるたきゞそりり、片足かたあしをあそばせて是にてかぢをとり、船をはしらすがごとくして難所なんじよよけて数百丈のふもとにくだる、一ツもあやまつことなし。
生田なる者に対する逮捕状をしたゝめて差出すや目科は受取るより早く、余と共に狂気の如く裁判所を走り出、またせある馬車に乗り、ロイドレ街を指して馬の足の続く限りはしらせたり
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
左から右へと眞白なクレフの上に二三度も繰返して指先をはしらしたが、心は上の空で、樂器の響は耳に入らず、來訪者に對する欝憤の情がます/\烈しく煮返にえかへつて來る。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
或はまた山に九曲まがりくねりあるには、くだんのごとくにくゝしたるたきゞそりり、片足かたあしをあそばせて是にてかぢをとり、船をはしらすがごとくして難所なんじよよけて数百丈のふもとにくだる、一ツもあやまつことなし。
こゝ呼參よびまゐべしとの事なれば早速さつそく村の小使こづかひはしらせ江戸表より御着ごちやくの役人方より御用の由早々名主宅迄なぬしたくまで御出なさるべしといはすれば祐然は聞ておどろき何事やらんと支度したくなし急ぎ甚兵衞方へおもむきけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自分はフロツクコオトに久振りのシルクハツトを冠り、車を霞ヶ關にはしらした。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)