貢物みつぎもの)” の例文
勃海国というのはその時分、今の満洲の吉林キーリン辺にあった独立国で、時々こうして日本に貢物みつぎものを持って来た事が正史にも載っているがね
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
幕末外交の犠牲となった女、美貌びぼうを商品のように扱われて、貢物みつぎものにされたお吉が権力に対しての無意識の反発は自分を独りにするしかなかった。
妻の座 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
シーザーへの貢物みつぎものは、常に神への貢物の残りに過ぎない。王侯といえども教義の前には何らの力をも持たないのである。
彼女たちは互いに、自分の貢物みつぎもので杢助の注意をひこうとしながら、互いに押したり叩いたりした。華やいだ声できいきい叫びながら土間の中へ入っていった。
似而非物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
独立国の貢物みつぎもの ところがブータンからチベット政府へ貢物みつぎものを納めるためにこの村に来て居る者があります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ですが地震はただい加減な、当推量じゃあったでしょうが、何なの、崖の総六の娘さんとかが、小田原へ貢物みつぎものを持って行って、あやしい神主に、受取を貰って来た
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我々は麻布といえば一反いったん二十円もするような上布じょうふのことをしか思い浮かべないが、貢物みつぎものや商品になったのはそういう上布であっても、東北などの冬の不断着ふだんぎは始めから
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かようの次第で、御世みよごとに志摩しまの國から魚類の貢物みつぎものたてまつる時に猿女の君等にくだされるのです。
とげたい。——そうだ。彼も今では、むかしの滝口の小次郎とはちがう。こんど、おぬしが下るついでに、純友からの貢物みつぎものだといって、ここの妓を四、五人連れて行ってくれ
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とう州、静海せいかい軍の姚氏ちょうしがその部下と共に、海の魚を捕って年々の貢物みつぎものにしていました。
だが、念丈ガ岳の東側からも同じ松川の名称を冠された一条の峡谷が、東南東に山を割っている。この方は飯田から十二キロも北上した所で、ともに天竜川への貢物みつぎものとなっているのだ。
二つの松川 (新字新仮名) / 細井吉造(著)
男から弓端ゆはず調みつぎといって、弓矢でとった獲物えものの中のいくぶんを、女からは手末たなすえ調みつぎといって、つむいだり、織ったりして得たもののいくぶんを、それぞれ貢物みつぎものとしておめしになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
帝様へ諸国から貢物みつぎものを献上なさる時は、いつもこの道を通ったとやらで、その帝様が奈良田でおかくれになりました時、それと聞いて土地の人が、その貢物を横取りしてしまってにわかに富んだから
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こころづくしの貢物みつぎもの
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
「そうだ。二龍山の宝珠寺にいる花和尚かおしょう魯智深ろちしんへ泣きつくんだ。後々には、きっと貢物みつぎものをいたします。ですから、ここんとこはどうか助けると思って、ひとつご加勢ねがいます、とな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして毎年まいとし船をどっさり仕立てまして、その船底ふなぞこかわくときもなく、さおかいの乾くまもなもないほどおうかがわせ申しまして、絶えず貢物みつぎものたてまつり天地がほろびますまで無久むきゅうにお仕え申しあげます
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
しかもその小遣いの多くはお絹の貢物みつぎものであった。彼もこの場合には、お絹のところへ無心に行きたくなかった。用人や給人にももう幾許いくらずつか借りているので、この上に頼むわけにはいかない。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「ええ、土地の産物を貢物みつぎものにするという意味なんでしょう」
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
するとまもなく新羅国しらぎのくにから、八十一そうの船で貢物みつぎものけんじて来ました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)