観音かんおん)” の例文
旧字:觀音
秋雨あきさめのしょぼしょぼと降るさみしい日、無事なようにと願い申して、岩殿寺いわとのでら観音かんおんの山へ放した時は、わずらっていた家内と二人、悄然しょうぜんとして
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と其の日は墓詣りに行き、今日は観音かんおん明日あす何処どこと遊歩にまいり、帰りにお汁粉でも食べて帰る位でございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
巡「別にうちもございませんから、お寺様のお台所だいどこかして戴いたり寺中じちゅう観音かんおんさまのお堂のお縁端えんばたへ寐たりいたして、何処と云ってさだまった家はありません」
ええ、つかぬことを申したようでありますが、客人の話について、と考えました事がござる。客人は、それ、その山路やまみちかれたので——この観音かんおん御堂みどうを離れて
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
対手あいて老朽おいくちたものだけで、年紀としすくない、今の学校生活でもしたものには、とても済度さいどはむずかしい、今さら、観音かんおんでもあるまいと言うようなお考えだから不可いかんのです。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さて出口でぐちから、裏山のそのじゃ矢倉やぐらを案内しよう、と老実まめやかに勧めたけれども、この際、観音かんおん御堂みどう背後うしろへ通り越す心持こころもちはしなかったので、挨拶あいさつ後日ごじつを期して、散策子は
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
釈迦しゃか文殊もんじゅ普賢ふげん勢至せいし観音かんおん御像おすがたはありがたいわけではありませんか。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
須弥壇は四座しざあって、壇上には弥陀みだ観音かんおん勢至せいし三尊さんぞん二天にてん六地蔵ろくじぞうが安置され、壇の中は、真中に清衡きよひら、左に基衡もとひら、右に秀衡ひでひらかんが納まり、ここに、各一口ひとふりつるぎいだき、鎮守府将軍ちんじゅふしょうぐんいんを帯び
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)