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西陽
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にしび
ふりがな文庫
“
西陽
(
にしび
)” の例文
一人はまた、いつ見ておいたのか、上人の居室の窓に
西陽
(
にしび
)
があたるので、そこへ高い垣を
結
(
ゆ
)
って、
糸瓜
(
へちま
)
の苗を植えようかなどと話している。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
午後のあるとき、私は頭を擧げて、そして
四邊
(
あたり
)
を見𢌞し、傾きかけた
西陽
(
にしび
)
の影を壁の上に曳いてゐるのを見て、私は
訊
(
き
)
いた。「どうしたらいゝのだらう?」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
あれくらいにして
西陽
(
にしび
)
を通さないと、西北側の白蟻は防げないんです……おっしゃるとおり、妙なペンキの色ですが、テルモールや、
藍色油
(
らんじきゆ
)
なんてえ防蟻剤を交ぜたから
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
私はうだりきって疲れて空腹で、そうして傾いた
西陽
(
にしび
)
に
灼
(
や
)
かれながら歩いていた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
だから、小料理屋と言うより、一杯飲み屋の構えだが、小鉢物ぐらいは出すらしい
粋
(
いき
)
な構えで、あいにく今は
西陽
(
にしび
)
がカンカンさしている二階には、お客の招ける座敷もあるようだった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
▼ もっと見る
どこともなく、
漂
(
ただよ
)
いだした
黄昏
(
たそがれ
)
の色あい——
煤
(
すす
)
けた
狩野
(
かのう
)
ふうな
絵襖
(
えぶすま
)
のすみに、うす赤い
西陽
(
にしび
)
のかげが、三角形に射している。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天気のいい日は、家の正面にまともに
西陽
(
にしび
)
がさしかけ、
反
(
そ
)
りかえった
下見板
(
したみいた
)
がほこりっぽく木目を浮きあげる。雨の日は、看板のうしろの窓の
鎧扉
(
よろいど
)
が、ひっそりとしずくを垂らしていた。
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼は、眠たげな
欠伸
(
あくび
)
をかみころしていたような顔を、大小名の溜りの間から、廊の
西陽
(
にしび
)
のうちに現わして“供待ち”にいる郎党の名を呼んでいた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
檐に近いところでは、れいのひょろ松、熱い瓦を踏みながら、
廂
(
ひさし
)
をのぞきこんだり、樋口を調べたり、河から照りかえす
西陽
(
にしび
)
をまっこうに浴びながら、大汗になって屋根の上を走りまわっている。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
いつか、中庭の
西陽
(
にしび
)
もかげり、冷ややかな夕風のおとずれと共に、役宅の書記、その他の役人も、ぼつぼつ退いていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところへ、
主
(
あるじ
)
なる茶屋の名物婆さんが戻って来たので、男はここへ来た用件を話し、
西陽
(
にしび
)
を見て腰を立てかけましたが
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここはまた、かんかんと
西陽
(
にしび
)
が
映
(
さ
)
している。——すぐそう思うだけでも、気持が贅沢に変っているのだと思いながら
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
本能寺の
空濠
(
からぼり
)
には、
西陽
(
にしび
)
が赤く落ちていた。六月
朔日
(
ついたち
)
は、一日じゅう京都もひどく照りついて、かなり深い濠の底まで、ところどころ泥の
乾
(
かわ
)
きを見せていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
血のような
西陽
(
にしび
)
と草いきれの中で、いんいんと、高く低く、貝の音が次々に答え合って、鳴りぬいていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軒が
断
(
き
)
れると、
西陽
(
にしび
)
が、頭から
射
(
さ
)
した。お蔦は、その西陽も感じないように、しゃべってあるいた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがてその石の
面
(
おもて
)
に
西陽
(
にしび
)
のうすれて来る頃、石の前で、誰かひそひそ話している声が聞えた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
西陽
(
にしび
)
の影はもう大地にない。
紅
(
あか
)
い
余映
(
よえい
)
を雲の端にのこしているだけだった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼方
(
かなた
)
の森の中からである。程なくそこの篠村八幡の境内から光秀以下、騎馬の
幕僚
(
ばくりょう
)
たちが、
西陽
(
にしび
)
を斜めに、
燦々
(
さんさん
)
として騎歩しずかに、各部隊を
閲
(
えっ
)
しながら順次こなたへ近づいて来るのが見られた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馬の汗、人の汗に、
西陽
(
にしび
)
が赤々と光っている、
蜿蜒
(
えんえん
)
と長い列だった。兵だけでも百人からいよう。徴発された百姓も、大勢見えるし、甲州者の人夫も馬を曳き、牛車の歯車に手をかけて廻している。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
向う両国には
西陽
(
にしび
)
がすこし
射
(
さ
)
していた。雲は
紅
(
あか
)
い、水は青い。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう、
西陽
(
にしび
)
が、沈みかける。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
西陽
(
にしび
)
を見て、彼が
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤い
西陽
(
にしび
)
をうけて。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
西
常用漢字
小2
部首:⾑
6画
陽
常用漢字
小3
部首:⾩
12画
“西”で始まる語句
西
西班牙
西瓜
西行
西洋
西蔵
西鶴
西山
西国
西南