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藷
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いも
ふりがな文庫
“
藷
(
いも
)” の例文
明らさまに前の
通
(
とおり
)
へ突出して、それが売物の梨、柿、冷えたふかし
藷
(
いも
)
に、古い精進庖丁も添えてあったが、美術家の目にはそれも入らず。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
藷
(
いも
)
なかりせば国内の食物は
夙
(
つと
)
に尽きて、今のごとく人口の
充
(
み
)
ち
溢
(
あふ
)
れる前に、外へ出て生活のたつきを求めずにはいられなかったろう。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それが思い出されるときには、きまってその頃母と小さい三人の子供らがよくたべていたあまい匂いのする
藷
(
いも
)
がゆを思い出した。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「風呂よりもわしは腹が減つてるよ。どら、さきに
藷
(
いも
)
でも食ふべえ。——煮てあるらあねえ? おばあさん。」
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
したのよ。一日お
藷
(
いも
)
をかじって過したこともあってよ。けれど、その頃が一番よかったわ、今から考えると。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
よしと籠ぐるみ受取ると、途中までお伴してお
藷
(
いも
)
を買ひにまゐりますと鞄をかかへて
蹤
(
つ
)
いて来る。何処の藷畑だと訊くと、蜜柑山のそばでございませうと云ふ。
蜜柑山散策
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
どうかなと案じながらも、祖母が私を残して帰った時、晩には
藷
(
いも
)
を煮て食べさせて上げると云って、叔母は屋敷つづきの畑へ私を連れ出し、
薩摩藷
(
さつまいも
)
を掘って見せた。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
だがこの満ちあふれる家々の中に何千という若い女が洗いざらしの
藷
(
いも
)
のようにごろごろしているのに、自分は二日もすれば薄暗い妙光寺の中で寝起きせねばならないのか。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
いまごろだと
苺
(
いちご
)
の砂糖煮もパンとつけあわせて美味いし、いんぎんのバタ
炒
(
い
)
り、熱い
粉
(
こ
)
ふき
藷
(
いも
)
に、金沢のうにをつけて食べるのなど夏の朝々には愉しいものの一つだと思う。
朝御飯
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
翌日小金井の
藷
(
いも
)
ばたけへ連れて行くと、
蔓
(
つる
)
が三尺ぐらいに延びていた。そんな時期であったのである。手伝わせると、教育されたように
秩序
(
ちつじょ
)
正しく
雑草
(
ざっそう
)
をとる。親より上手だ。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
「この子附け
鱠
(
なます
)
の美しいこと」「このえび
藷
(
いも
)
の
肌目
(
きめ
)
こまかく煮えてますこと」それから唇にから揚の油が浮くようになってからは、ただ「おいしいわ」「おいしいわ」というだけで
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一ヶ月程たって、東野南次の収入の総計は、
何
(
な
)
んと金一円五十銭也と、干し
藷
(
いも
)
が三
片
(
きれ
)
也、これはビルディングの
小母
(
おば
)
さんに頼まれて、北海道にいる
悴
(
せがれ
)
へ書いた手紙のお礼だったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
などと、私はのんきな想像をめぐらしながら、この原稿を書いていると、東京の学校へ行っている愚息が、空き腹を抱え
蒼
(
あお
)
くなって帰ってきた。母は、お
藷
(
いも
)
の麦まぶしでも、おあがんなさいという。
支那の狸汁
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
此辺
(
このあたり
)
の狭い町角では薩摩
藷
(
いも
)
や梨を
茹
(
う
)
でて
湯気
(
ゆげ
)
の立つのを売つて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
黒島では野山の奥までも鼠が
充
(
み
)
ち
満
(
み
)
ちて、青いものは一葉もなくなり、人の食物としては
藷
(
いも
)
の
蔓
(
つる
)
さえ残らなかったという話で
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
婦人自身にしても、参政権などよりも、やすいお
藷
(
いも
)
がほしいと云い、それどころか暇がなくて、と、何度云って来たことだろう。それにもかかわらずこういう結果があらわれた。
春遠し
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
菎蒻屋桶に
藷
(
いも
)
磨り、飴形屋掛けて飴練る、蚊ばしらや春より立たむ。藍俵夏よ
染
(
し
)
み
出
(
で
)
む。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ちよつとしたこととはお民の食ふ
藷
(
いも
)
をお住の食つたとか云ふことだけだつた。
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
藷
(
いも
)
を売ったり、玉子の仲買いをしたり、川魚を売ったりして、少しずつ新円を貯めていたのであろう、子供が
幼稚園
(
ようちえん
)
にさげてゆく弁当入れのバスケットに、まだ五六百円の新円がはいっていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
人に
騙
(
だま
)
されて海鳥の羽毛を
採
(
と
)
りに行ったのだったが、食料のために
藷
(
いも
)
を
栽
(
う
)
えてみたけれども、たちまち鼠に
喰
(
く
)
い尽されて絶望したという話である。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
早や
愛
(
かな
)
し和田の岬の夕潮に
藷
(
いも
)
洗ふごとく子らぞ
混
(
こ
)
み合ふ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
藷
漢検準1級
部首:⾋
18画
“藷”を含む語句
甘藷
甘藷畑
仏掌藷
唐藷
薩摩藷
五升藷
仏手藷
蕃藷畑
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藷焼酎
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馬鈴藷
馬鈴藷圃