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花菱
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はなびし
ふりがな文庫
“
花菱
(
はなびし
)” の例文
あげ屋は
花菱
(
はなびし
)
という家で、客は若い侍の七人連れであった。その中で坂田という二十二、三の侍はお花という女の馴染みであるらしい。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
みな川町に「
花菱
(
はなびし
)
」という奈良茶の店がある。茶漬を売る店だが、寄合のために貸す座敷もあり、
酒肴
(
しゅこう
)
の注文にも応じた。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
持來
(
もちきた
)
りし中に
蝦夷錦
(
えぞにしき
)
の
箸入
(
はしいれ
)
花菱
(
はなびし
)
の紋付たる一角の
箸
(
はし
)
鼈甲
(
べつかふ
)
の
簪
(
かんざし
)
などありしかば大岡殿是を見給ひ
即時
(
そくじ
)
に
金屋
(
かなや
)
利兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もっともそれに備えて、ここの中軍、信玄のいる所でも、今や例の甲軍最大な
象徴
(
しょうちょう
)
としている孫子の旗も
法性
(
ほっしょう
)
の
幟
(
のぼり
)
も、また諏訪明神の神号旗も、
花菱
(
はなびし
)
の紋旗も、すべて秘してしまって
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
再び芝居町の名物
高麗
(
こうらい
)
せんべいの
店先
(
みせさき
)
(第七図)に
花菱
(
はなびし
)
の看板人目を引き
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
と再び屋敷を
立出
(
たちい
)
で、大曲りへかゝると、
中間
(
ちゅうげん
)
三人は手に/\
真鍮巻
(
しんちゅうまき
)
の木刀を
捻
(
ひね
)
くり待ちあぐんでいたのも道理、
来
(
こ
)
ようと思う
方
(
ほう
)
から来ないで、
後
(
あと
)
の方から
花菱
(
はなびし
)
の
提灯
(
ちょうちん
)
を
提
(
さ
)
げて来るのを見付け
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その前へ
毛氈
(
もうせん
)
を二枚敷いて、床をかけるかわりにした。鮮やかな
緋
(
ひ
)
の色が、三味線の皮にも、ひく人の手にも、
七宝
(
しっぽう
)
に
花菱
(
はなびし
)
の紋が
抉
(
えぐ
)
ってある、
華奢
(
きゃしゃ
)
な桐の
見台
(
けんだい
)
にも、あたたかく反射しているのである。
老年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そう改まれるとちと気がさすが、せっかくのことだから、遠慮なく申しますぜ。……酒のほうは、すこしねばるが、
花菱
(
はなびし
)
に願いましょう。
銚子
(
ちょうし
)
では酒の肌が荒れるから、錫のちろりで、ほんのり人肌ぐらいに願います」
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「銀の平打の
釵
(
かんざし
)
」と青木千之助は
呟
(
つぶや
)
いた、「片方は裏梅の彫りで片方は
花菱
(
はなびし
)
だった、注文して打たせたものではなく、小間物屋で買った品だろう」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お菊は
甚
(
いた
)
く氣の毒に思ひ我故に
斯
(
かく
)
成行
(
なりゆき
)
給ふなれば何卒
見繼
(
みつぎ
)
度思へども親に
養
(
やしな
)
はるゝ此身なる
故
(
ゆゑ
)
何事も心に
任
(
まか
)
せず是は僅なれども私しが
手道具
(
てだうぐ
)
なれば大事なし
賣
(
うり
)
てなりとも
旅籠
(
はたご
)
の入用母御の藥の
代
(
しろ
)
に
爲給
(
したま
)
へと
鼈甲
(
べつかふ
)
の
櫛
(
くし
)
と
琴柱
(
ことぢ
)
に
花菱
(
はなびし
)
の
紋付
(
もんつき
)
たる
後差
(
うしろざし
)
二本是は
價
(
あたひ
)
に構はず
調
(
とゝの
)
へし品なりとて吉三郎に渡しければ大いに悦び
其芳志
(
そのこゝろざし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
支度が済んで、姉といっしょに表玄関へゆくと、柳沢の四つ
花菱
(
はなびし
)
と裏梅の紋をちらした、非公式の女乗物が据えてあり、やはり柳沢家の者だろう、六尺や小者たちのほかに、侍が四人待っていた。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
花
常用漢字
小1
部首:⾋
7画
菱
漢検準1級
部首:⾋
11画
“花菱”で始まる語句
花菱院
花菱院照誉東成信士